7話 その3
「変なものが体に入って来るような感覚を抵抗せずに自然にいれば良い」
「はい…」
その後…全身を触るような何かが体の中に動き回る感覚に襲われた。
ちょっと擽ったいが痛くはならないようで安心して受け入れた。
しばらくして…僕の前に光る色んな文字が出て来た。
勿論…僕は読めない…これって文字なのかすら分からない。
それを読んだレイラは何故か体がぶるぶる震えていた。
「こ、これは…一体何ですか?何を考えてますか?やり過ぎですよ!ウギャー!」
ん?何かやり過ぎとか言ってますが…。
「あの?レイラさん…?なんと書いてあるんですか?」
「はぁ…それがな……」
レイラさんは急に考え事を始めてしばらくしてから口を割った。
「すまん…複雑な神の言葉だから私にもすべては読み取れない…」
「………そうですか?」
嘘だ!何が隠していると…僕は確信した。
「私が分かるのは君が一度死んで主様の力で生き返った事と女神の加護を授かった程度だ」
やはり…あの時、僕は死んだようだ。
それをルル姉の歌声で生き返ったと分かった。
「そうですか…では本題に入って…ルル姉の聖地に行く為に僕はどうすれば良いですか?」
レイラさんは僕をじっと見つめ続けた。
恥ずかしいからやめて…。
あとその目つき怖い。
「そうだな…手っ取り早い方法はある…君が出来る一番!現実的な方法だ」
「本当にそんな方法あるんですか?お願いします!教えて下さい!」
「うむ…君がイビルゲートの最深部まで行って核を壊す事だ」
「イビルゲート?それはなんですか?」
「ああ…そこは元々邪神達がこの世界に侵攻する為に作ったものと伝えられている…地下迷路だ…その最深部の核は魔物を生み出している…イビルゲートを守っている」
「へぇ!まるでダンジョンですね!」
おお!何とドキドキ胸躍る話しなんだ!
…………でも怖いから却下!てへっ!
「だんじょー?まぁそのイビルゲートから漏れて出した魔物のせいで人々の住処が侵されている…」
「ええー!大変じゃないですか!国の軍隊で対処出来ないですか?」
ふふふ…そう!そんな事は国に任せるべきだろ?その為に税金払ってるし…。
あっ…僕はまだ払ってませんが…。
「中は迷路で狭い…大人数が入るには適してない…それで各国は冒険者ギルドと連携して魔物退治やイビルゲートの攻略を支援してる訳だ…それに一年何回か軍の人も派遣されてるようだが…」
「なるほど!なら安心ですね!」
そこに行く必要はなさそうだ…ふぅ良かった!さて、別の方法を教えてもらおう。
「あはは…本当に何も知らないな」
この世界に来たばかりです!当たり前だ…馬鹿じゃないのぉ?
「今まで数千年間、数多くの中…攻略されたイビルゲートはたった二つ…」
……ちょ、ちょっと待って!
「攻略に成功した彼らは…ほぼ全滅したらしい…運良く生き延びた二人が歴代勇者だったようだ」
「…………」
はっ?勇者が運良く生き延びたですか……僕、今まで無職引き篭もりでしたよ?
この人何言ってんの?死ねって言ってるもんだろ?とこが現実的だよ!
「か、神様がそのイビルゲートやらをぶっ壊せば早いんじゃないですか?」
そう!邪神とか言ってたからこれは神々の問題!神様に押し付けよう!ナイスアイデア!僕って頭いい!
「神々が手を出せば邪神達も動く…実際前代の主神様がイビルゲートを壊し回って邪神と大激戦になってだな…」
ほぇ?
「互いに多大なる被害が出て責任を取り主神の座を今の主神様に譲っる事になった…」
OMG…終わった…これは詰んだわ
「僕が出来る訳無いよ…」
「それ以外方法は無い!覚悟決めろや!」
この人今ちょっと笑ったよ?意地でも行かせるつもりだよ!僕…何もしてないのにそこまで嫌われている?
あの目は敵を見てる目だ!ヤバイ!
「うむ、案ずるな…君は主様から授かった加護がある…」
「ルル姉の?」
「主様を信じろ!今日は遅い…早く寝て明日冒険者ギルドに行って見るが良い…」
僕には選択肢は無いようだ…諦めよう。
「分かりました…ルル姉の為に頑張ります」
「うむ…私が出来る事はこれ以上ない…というか出来ない…分かるよな?」
「はい…」
自力でてすか…どうにでもなれ!くそぉ!
「今日の宿屋の費用は私が払ってある…明日からは自分で頑張って生き抜け」
「はい、ありがとうございます…」
「ふむ…イビルゲートを攻略したら迎に来る…では私はこれで失礼する…」
「色々ありがとうございました…」
レイラさんは窓から飛んで夜空に消え去った。
「ふむ…イビルゲートを攻略したら迎えに来る…ですか?死んだらタマ取りに来る!の間違いじゃないの?死神め……」
でも僕は…ルル姉の器を見て覚悟を決めた。
早く会いたい。
やって見るか…ダンジョン攻略!
僕は明日の為ベットに入って睡眠を取る事にした。




