6話 その5
その光景を目の当たりにしても僕はまだこれが現実か夢か疑う程だった。
レイラさんと僕は急いでルル姉がいる場所に戻った。
痺れたカエルの足のようにビックビック痙攣しているルル姉を発見した。
「た…た…え切ったぞーー!イヒヒ!」
仰向けのままぶつぶつ呟くルル姉…。
無事とは言えないが生きているのを確認して一安心した。
そのルル姉の前に立ったレイラさんは跪いた。
「ご無事で何よりです!主様!」
「あっ?…貴様はこれが…無事に見えるのか?」
「も、申し訳ありません…お許しを…」
「ルル姉ぇー!!」
僕はルル姉の前まで走った…。
そのボロボロになっている姿に涙が出てしまった。
「良し良し、もう大丈夫だ…男の子がそう易々泣くでない…本当に涙脆いのう…」
ルル姉は僕を優しく抱き締めて優し声で囁いた。
「あの…この扱いの差はなんですかね」
「あ?今何か言ったか?」
「いいえ、何も…」
レイラさんの視線が…痛い。
凄い顔で睨み付けられた。
「いいか…ハルト君…私はバカ鬼のせいで力尽きて…これから眠りに付かないといけなくなった…安心せい…死ぬわけじゃない…」
その話しだと普通の睡眠とは違うとすぐ気付いた。
「どれ…ぐらい?」
僕は涙をぽとぽと落としながらルル姉の手を握った。
「賢い子じゃな、現状正確には分からない…もうダメだな…レイラよ」
「はっ!」
「後の事とこの子を頼んだぞ…」
「拝命!承りました」
ルル姉の体が光って姿が消えた。
その場所から一つの剣の形のペンダントが残った。
「これは…一体?」
「それは神の器…神の力が弱体した時、その器に入って精と体を癒すと聞いている…」
「…これでルル姉はもう大丈夫ですか?」
「それだけではだめだ…ルナ様の聖地の玉座の間に神の器を置かないと回復できない」
「では早く聖地へ…」
「無論…人と子の君は聖地に足を踏み入れるのは出来ない…さあ、その神の器を…」
僕はこの神器を渡す事を躊躇した…。
中にはルルが眠っている。
ルル姉の使徒と言えこれを知らない者にぽいっと渡すのは抵抗があった。
「一緒に聖地に行けないんですか?」
「その方が主様も喜ぶと思うが…」
「では!!」
「聖地に入る前に、天界の門番が君をミンチにするぞ?」
へぇ…中々優秀なガードマンだな…。
うちに毎日来るうっとしい訪問セールス達の防止の為に雇いたいぐらいだぜ!




