表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/1571

1話 その3

何かのジョークか今流行りのギャグか分からなくてスマホで検索までした。


検索結果…0件


オーケー…この場合は普通に返事しよ!


「僕、視力だけはいい方です…すれ違った女性のお尻の形とサイズまで分かります」


よし!普通で最高の返事出来た!


「へぇ…君…凄いね?まあ…そんな事は聞いてないが」


彼女は自分のお尻を手で隠しながら僕を変態を見る目で見て…微妙に距離を取った。


視力の良さを詳しく説明しただけなのに…。


「まあ…いいわ…君の名前は?」


彼女は何か言いたい事がありありそうな表情だったが…すぐどうでもいいような顔に変わって話をすり替えった。


「僕は志村晴人(シムラハルト)です…年は今日で17歳になりました。」


今度は普通に自己紹介が出来た気がする!


これでまたゴミを見る目をしたら立ち直れなさそう。


「うむ!良い名だ!それと、誕生日おめでとう!志村君!この先君に幸あらんこと祈ろう…」


この反応!僕はまだ廃人レベルまでは至ってないようだ


それに彼女の優しく微笑む笑顔を見て…顔が熱くなった感じと胸がドキドキした。


初めて会った人に形だけのお祝いの言葉だが彼女の言葉には真心と暖かい気持ちを感じた?


僕は嬉しくさとはずかしさに彼女から背を向けて礼を言った。


「あ…ありがとうございます…」


「ぷっ!照れてる照れてる可愛い可愛い!あはははー」


「揶揄うの…やめてもらいません?」


腹を抱えて笑われたが…嫌な気分にはならなかった。


彼女の笑顔は本当に見惚れるほど綺麗で無邪気な笑顔だったからだ。


「うむ…誕生日なのに悪いが…今しばらく付き合ってもらえないだろうか?」


「は、はい?何をですか?」


「……最後の夜は楽しく誰かと語り合って過ごしたいのだが…だめだろうか?」


先までの彼女の笑顔が寂しくて切ない表情に変わった。


早く帰ってやっと出たゲームの新キャラの育成をしたかったが…僕はその顔の前にして何故か断る事は出来なかった。


「いいですよ!どうせ待ってる人いませんし……朝まででも付き合いますとも!今年最後の夜、二人で過ごすのもいいですね!」


夜に女の子を置き去りして帰るのも気が引ける…本当は偶然な出会いにちょっと萌えている!


「おーー!本当か!ありがとう!…しかし…大晦日の夜…一人寂れたこんな所で…君…ボッチかい?」


むっ!そうです!その余計な一言で心のダメージを受けているボッチです。


「あの…否定はしませんが…流石に傷つきます…それに危ないんじゃないですか!こんな暗い場所で女の子一人…ん?……って貴女も同じボッチじゃないです?」


「あはははは!すまん!すまん、ふむ!私も自己紹介をしなければならんな!」


彼女はベンチから立ち上がり凛々しく自己紹介を語り始めた。


「心して聞くがよい!そして光栄に思え!私の名はルナ、ファナリー、ルカ!そして!」


「へぇー!外国の方だったんですか?日本語が流暢で分かりませんでしたよ!すごい!わーい!パチパチ」


「………」


思わず…話の腰をポキっと折った僕の顔に彼女はグーを出して来た。


丸くて柔らかそうな手…殴られても痛くなさそう…。


「おい、君…人の自己紹介は最後まで聞かないと、どっかの怒り狂った女子に殴り殺されるーとかなんとかの話し親御さんに教わらんかったかね?」


「その様な話は初耳ですが…今後から気を付けます!続きをお願いします」


「ふんっ!許す!改めて名乗ろう!」


彼女は真剣な顔でもう一度自己紹介をやり直した。


「私はルナファナリールカ!そして!私はこの世界の者ではない…」


そうだな…最近ヘッドホンでボリュームMAXでゲームをやっていたせいか耳が悪くなってる?…それか日本語を間違えているのか?外人だし…。


「私はこの世界と異なる…ダースアクリア, マムンティア, レガリスという3大陸が存在する別世界の16の大神の一柱!破壊を司る女神である!」


………おう!どっちも違った。


「えへん!人の前に自己紹介は2000年ぶりだよ!なんか照れるなーウフフ♪」


何言ってるんだこのお姉さん?何大陸?女神?2000年?


あまりも壮大で痛々しい自己紹介に僕は体がガチガチ固まって言葉も出なかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ