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1話 7

仕方なく竿を離そうとした時…。


僕は小さな頃母とのキャンプの思い出が頭に浮かんだ。

.

.

「お母ちゃん、お母ちゃん!」


小さくて愛くるしいハルト。


「どうしたの?ハルトちゃん?」


クマさんの着ぐるみを着てる母…何故かクマさんの顔に刀傷が刺繍が入れてあった。


それでも可愛い姿だった。


「あのね…魚さん一杯捕まった!」


「……あら!沢山捕まえたね…凄いね!」


「えへへへ!でもね…あそこのおじさんに小さいから離してあげてと言われた」


幼児ハルトの話しを聞いた母は天使のような笑顔が険悪な顔に変わった。


「ハルトちゃん!いい?小さいだろうと大きだろうと関係ないのよ…自分が手にした物を手放すなど…そんな人…生きる価値あるかしら?まぁ!私達の為にお金を潰てくれるならいいけと?」


「うん?そうなの?」


母が指を鳴らした瞬間、一緒に来た黒づくめの男達が火を起こして調理道具をセットした。


「ハルトちゃん…全て焼いて貪り食らい付きなさい!!私の後を継ぐ男がそんな生温い人になったらだめよ?自分が手にした物を手放す愚かな行為はお母さん、許さないわよ?」


「ひぃ!分かったよ、お母ちゃん…」


「我が家の家訓は?」


「ご、強欲上等…?」


「あらまあ!良く出来ました!ふふふ」


母は天使のような笑顔に戻った。

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