5話 その3
そして、最後の目的地に行く為に飛行機を乗った。
「うほうーー♪たかぁい!早ー♪」
「前回乗った時、ルル姉…凄かったよ」
「むぅ! 忘れた方が…身の為だぞ!」
初めて飛行機に乗ったルル姉はこんな鉄の塊が飛ぶはずがないとか…機体が揺れると落ちるーと叫び出して、周りに迷惑かけてしまった。
30分程経って上空から目的地が見えて来た。
「見えてきましたよ!あそこです!……ルル姉?」
ルル姉は今まで見て事がない真剣な表情で外を見ていた。
「み、見つけた…原点…ははは、この気配は…あいつか…ならすぐにも」
原点?…珍しく一人でボソボソ喋ってる。
「ルル姉?」
「ハルト君…あの場所に行き道を知ってるか?」
「はい、あそこの地理は詳しいですよ」
ルル姉が指を指した場所は泊まる旅館の近い場所で…大昔からの心霊スポットで有名だ。
最近、雑誌に紹介されで面白気に勝手に入って来る人が増えて僕としては不愉快だった。
そこは志村家の敷地…父と母が眠っている墓地だ。
空港から出たルル姉の表情は益々固くて何か悩みを抱えてる表情だった。
きっと…あの時呟いた原点の事だろうと思った。
「ルル姉…。」
「ん?…ああ心配するな…大丈夫!体調が悪い訳ではない…」
「ならいいんですが…」
旅館でチェックインして温泉に入ってから墓参りに来た。
長く来てない志村家の墓には雑草が沢山生えていた。
うむ…ご先祖様に合わせる顔が無い。
「父さん、母さん…僕、元気だよ、遅くなってごめん!もう心配しなくていいよ!ルル姉のお陰で悩みもさっぱり解決してる…これから…頑張って生きて行けそう、だから安心してね」
両親の墓で挨拶と報告を済まして墓石を綺麗に洗ってから周りの除草作業を始めた。
だが放置し過ぎて中々片付かない…。
腰が痛くなった…。
手も痛くなった…。
足も痺れてきた…!
お父さん、お母さん…ご先祖様…すみません帰ったら業者さんに頼んでおきます…!
僕が取った雑草を片付けている間にルル姉も両親の墓の前で両手を合わせて何か話している様子だった。
ありがとう…ルル姉。
しかし…汗を掻いて風邪引きそうだ。
早く帰ってまた温泉に入ろう…。
「ルル姉…帰ろう…」
「うん…」
「あっ!そう、ルル姉が指差してた場所はここだよ」
「うん、分かってる…」
「…そう?」
日が暮れて…僕達は沈黙の中で旅館に戻った。
第一幕が終わりましたが次の魔王国からの冒険話も続きますのでまた呼んで頂きたいです




