29話 12
無の空間の崩壊が激しくなった。
ルル姉の器から示す方向に急ぐと天界と繋がっている空間が見えた。
そして…僕は無事に天界に戻った。
しかし…出た瞬間…休む暇も無く神々に囲まれた。
「おお!少年が戻って来たぞ!」
「それって…解決されたって事?」
「結果報告!返事要求!」
三馬鹿神が涙目で迎えてくれた…。
僕の無事に喜んでいる…訳ではなさそうだ。
きっと消滅するのが余程怖かった見たいだった。
「少年!よく無事に戻った、ルナの器の色を見る限り解決したようだな…無の空間も急に崩壊が始まった…」
主神が嬉しそうに僕の肩を叩いた…。
超痛い!なにこの馬鹿力…。
「はい…全て終わりました!ルル姉も無事です!」
「おおおおおおおお!」
神々は喜んで歓声を上げていた…それを見て何故か僕も嬉しくなった。
主神と神々に今までの説明をする最中…話を聞いていたボルグランが険悪な表情で口を挟んで来た。
「人の身でありながら…主神よ、この少年は危険ぞ…」
歓喜に溢れた空間が急に静かになった。
こんなにキューティーで平和を愛する僕を危険とは…失礼しちゃうわね!
「……確かにこの少年には何か分からない力が秘められてる気がする」
えっ?主神様!先の励ましはどうなったの?
「危険が及ぶ前に…いっそのこと…」
ボルグランは拳を握り僕に向けて殺気を放った。
そう来ましたか…最悪こうなるかと予想はした。
でも…ルル姉の為にも地上の仲間の為にもなんとか切り抜け無いといけない。
試練を乗り越えて間も無くまたの危機に晒されるハルトであった。




