29話 11
ルル姉の体が光り始めて器に戻ろうとした。
「ハルト君、私が器に戻ってから光を送る…その方向に行けば天界に戻れるはずだ…」
「うん!ありがとう、ルル姉」
「しかし…残念だな…今回は言わないのね…楽しみにしたのに」
何故か残念そうな顔で僕を見つめていた…。
「え?なにがですか?」
ルル姉はニコッと笑って僕の耳に甘い声で囁いた。
「私を口説く時…言ってた決めセリフ♪」
ん?決めセリフ?………………まさか!
「ほらー!森羅万象の頂点に立ったとか?」
……ああ…そんな!心を読んでいたの?
「ゴットスレイヤーになり申した…とか?」
「ルル姉!やめて!もう許して…」
「この世が虚しいせっ!っと言った事…今回はどんな決めセリフが聞けるか期待したのに……」
「ああああああああああああああぁぁ!!」
まさか!今までずっと読んでいた訳じゃないよね?ねぇー?
「そうそう!!その顔が見たかった!じゃねー女誑しのハルト君!愛してるぜ!イヒヒヒヒ」
女誑し?僕…童貞でヘタレチキンなんですけど…。
ルル姉は器に戻った…本当に最後まで見事な意地悪だった。
さ、さすが、ルル姉…油断も隙もない!
今度から気をつけておこう…心眼、怖ぇぇ!




