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29話山を越えるとまた山…あなた迷子です…その1

無の空間は崩壊が進んでいる…それなのに!


何故か帰らないと言い出す我が女神様。


いい加減にして欲しいな…一体何故だ!


全身に感じる激痛で余計に腹が立った。


僕…何の為にここまで苦労したの?ほら見てよ!この鼻血!歯もちょっとグラグラしてるし…目あたりは見事にパンダになってるよ!


そう抗議したいが…!言えるはずがない。


「ごめんね…今回の事で気付いたんだよ」


「何を?」


「私は戻ったらいけないんだと…」


ルル姉は全て諦めたような悲しい顔だった。


「な、何言ってる!そんな事ない!」


「ハルト君…」


その悲しい表情に僕は腹の底から力を込めて叫んで否定した。


「ハルト君は優しいな…こんな私の為に必死になって助けてくれて…短い間だったが異界で君と一緒に過ごしたその時間がなんと恋しいか…」


「ルル姉…」


「君と出会ってから…私は本当に楽しかった」


「僕も…ルル姉と会えて幸せだよ!」


「私の鼻にポテトを差し込んだ時…」


「それは忘れて!」


「ハルト君が…私が浸かったお湯を飲んだ時…笑いを堪えるのに必死……」


「やめてやめて!……はっ?それになんでその事を知ってるのよ!」


「ゲームセンターで私の胸を見て感激した時も…」


「はう!」


「私が腕を組むと胸の方にちょっと力を入れて来た事も……」


「くはっ!」


ああ…死にたい…人生やり直したい。

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