26話 辛い経験は分かち合いたいらしい…その1
無の空間は宇宙のように無重力で壊れかけた星々が流れていた。
全てを呑み込み、そして消滅する…ここは星々の墓場…それが無の空間だった。
その中でルルは無の神に抵抗していた。
「もう諦めて全て委ねよう…」
無の神は灰色の長い髪に青白い肌色…少し地味な雰囲気の女性だった。
「うるさい…もう、付き纏わないでくれるかな…迷惑だ!そんなのはレイラで間に合ってるから…だから!消えろよ!」
「もういいではないか…長く苦しんだであろう?」
「まあ…色々あったが…貴様に言われるとムカつくね…お前がいなかったらもうちょっと楽に生きてたわ!クソ!体が動かない…侵蝕が大分進んでしまったか…」
力が抜けて空間の流れているルルは体の機能がほぼ麻痺しているように見えた。
「もう分かったであろう?この世には貴方の居場所などない…」
「黙れ!!!死に損ないの亡霊が……」
「また、貴方の大切な者がこんな世界に苦しめられる事になる」
「……私がなんとかする!」
「レナードはなんとか出来たか…」
ルルはその言葉を聞いて激しく怒り出した。
「黙れ黙れ!黙れぇー!」
「次は…あの少年か?」
「何を…言ってる…やめろ………」
「四六時中守れる?自分の事で一杯であろう?」
「やめろ…それ以上言うな!黙れ!」
「あの少年もレナードと同じようになる可能性は無いと言える?」
「ハルト君が……居なくなる…」
「もう良いではないか…そのような悲劇…見たく無かろう?」
「私の…ハルト君が…レナードのように…」
無の神はルルの心を揺さぶってハルトの事で心が揺れてしまった。
「くっ!卑劣な!あぁ…侵蝕がもうダメかも…ん?なに?あれ?」
「ん?そんなバカな!入れるはずがない私の空間に!なんだあれは?」
何か得体知らない物がルルの方に流れて来ていた。




