4話 その6
全員…成仏しそうな至福に満ちた顔になっている……もちろん…僕もだ。
「私、そんなに凄かったかい?」
凄く喜んでるルルさんにその卑猥な真実を伝える事はできない…。
「はい…一生忘れられないほと刺激でしたよ……」
ごめんなさい…そして、ありがとうございまーす。
「シッシシ!!そうかい、そうかい!中々楽しかったぞ!」
うむ!決して嘘を付いてない!
それにルルさんも喜んでいる!
互いにウィンウィンで宜しいではないか?
それは良しとして…動いたせいかお腹が空いて来た。
食事をする事にしてルルさんにリクエストした。
「肉だ!お肉がいい!肉にしよ!」
なんと…女の子に有るまじき即答…。
ステーキ400グラム5皿を軽く片付けるうちの女神様…。
中々の男前です。
「ふぅ……食べた食べたー♩」
その包み隠さないルルさんが僕は好きなんだろうか…。
見てるだけで口がニヤけてしまう。
ルルさんを見てると何だかこれから自分自身にちゃんと向き合って行かないといけない気がした。
それで前から考えていたが実行できなかった事をしようとルルさんに話した。
「ルルさん…二つほど提案があるんですが…」
「なんじゃ?言うてみよ」
「旅行をしようと思ってますが…一緒にどうですか?」
「ほう?引きこもりはもう卒業かい?」
相変わらず容赦ない一刀両断のツッコミだ。
「なぜ急に旅行など?」
前々から行こうと思ってはいたが…実行出来るほど気持ちの整理が出来なかった。
でも…今は違う…。
僕にはルルさんがいる。
ルルさんとなら自分を取り戻せるような気がした。
今まで硬く閉ざした自分の人生の未来…。
その扉を開けて飛び出したいと思った。
ルルさんと一緒に…。
「まず一つは…色々お世話になった方々にお礼と挨拶を兼ねて…長く行ってない両親の墓参りもいい加減行かないと思って…」
「良い心がけだ!反対する理由も無かろう…次の提案は?」
これが一番大事だ…。
「えーと、これが一番重要で…二人で同居してるには人目もあるし、旅先に宿泊する時とか家族としておけば便利かなと…」
「つまり私とハルト君…家族と設定して振る舞えば良いって事だな?」
「はい!私が兄で…」
「そうかいそうかい…ハルト君がお兄ちゃんか……ん?」
お兄ちゃん…生で聞けるとは!何たる甘美な響き!とろけるー♪
「ちょっと待てい!なぜハルト君が兄だ!どう考えても私が姉であろう!!」
…その通りだが、そこは何とか折れて欲しい。
「い、妹が欲しかったです…」
「ん?」
「お兄ちゃんと呼んでください!妹がいってたら…妹がいってたら…はぁはぁ…あれや…それや…むふふ」
ああ…いかん!興奮し過ぎて言葉が上手く出ない!
この時は真心込めて土下座して頼み込みしかあるまい!
その姿にルルさんはドン引きした。
「もし、君に妹が居たら、間違いなく怖くて家出するわ…」
…決してそんな事はない!
兄と姉の関係をかけて論議を始めて2時間時…
僕は負けた…。
さらば…願望の妹よ…。
それでこれから呼び方が「ルルさん」から「ルル姉」と変更になった。
妹…欲しいっす…空から落ちてくれないかな?




