19話 その8
美の女神の神獣、雷獣ガライオは既にルルに殺されて…美の神は出番はなかった。
「さて…私達も一仕事しましょう…ハルトちゃん達は狼の神獣を頼んでいい?レイラはあのむっつり男を相手して~」
「うむ、承知した」
「分かりました!イリヤ、リリヤ!行こう!」
僕達とレイラさんは各自任された相手に向かった。
「さあーて!私も…ん?」
バルトゥールがラズリックのスカートを引っ張った。
「おい…私だけ放置されるのはいやだけど…」
「うーーん、血で汚れたく無いしな…まあいいか!それじゃ!あの馬…宜しくね!」
「分かった!任せて!」
バルトゥールは鼻歌を歌いながらラーズ陣営に歩いて行った。
「お馬さーんお馬さ〜ん♪」
バルトゥールはラダーに手を振りながら呼びかけて邪気に反応したラダーはバルトゥールに猛突進して来た。
「ガキ!何やってる早く逃げろ!死んでも知らんぞ!!」
ラーズの兵士は神獣相手では逃げるだけで一杯一杯だった。
「そんな!避難に遅れた少女が!助けに行かないと!!」
「女王陛下!いけません!危険です!」
本陣からフィリアがバルトゥールを助けようと飛び出そうしたが近衛に止められた。
「ああ!ダメーー!逃げて!」
フィリアは切なく叫び出した。
「お馬さーんお馬さ〜ん~♪♪………ぺっ!死ねや!うりゃあぁ!」
バルトゥールは突進して来たラダーに強力なスクリューアッパカットを決めた。
それを食らったラダーは首がへし折れて空中に吹っ飛んだ。
「……に…げてー?」
「…」
「…」
フィリアと近衛とラーズの将軍と軍人達は目を疑って呆然と立ってそれを見ていた。
とーん!と重い音と共に落ちて来たラダーは泡を吹きバルトゥールの前で倒れた。
「はっ?弱っ!本当にこいつ神獣なの?つまらんなー!そんじゃ…トドメを刺すか…」
腕をブンブン回したあとラダーの体に拳を突いた。
ドォーーン!と衝撃音と共にラダーの体は肉片となって飛び散った。
そして…足一本がバルトゥールの前に落ちた。
「えへへ!戦利品ゲットだぜ!お兄ちゃんに褒めて貰おう♪」
バルトゥールはそれを持って…鼻歌を歌いながらハルトがいる場所に向かった。
「………幻…でしょうか?」
「…そう思いたいです…」
バルトゥールの活躍によってフィリアとラーズ軍は神獣から救われた。




