3話 その4
客室に案内してから僕は廊下のクロゼットを開けてお風呂に入る準備をしていた。
「ルンルル♪」
ルルさんは部屋に入る前に風呂に入る支度をしている僕を見に来た。
「………ハルト君?風呂入るのになぜそのような……」
僕はエプロンにゴム手袋、長靴…掃除道具一式完全装備した。
「あ?それは…き、貴様ぁぁー!私の浸かった後湯がそんなにいやなのかぁぁああ!」
ルルさんは顔を真っ赤にして怒り出した。
「違います!違います! 2000年ぶりの風呂だと聞いたので…あの…そのまま僕が入いるとルルさんが…恥ずかしいんじゃないかな…っと」
「ふん!元々霊体のままだったので、汚れてなどいない!」
「へぇ!そうだったんですね!分かりました!」
正直…女子が入ったあとのお湯に浸かるのは僕にはまだ刺激が強過ぎる。
だからその装備をしたまま風呂に向かった。
「ほぅ…人の話し聞いてたかい?むきー!!!」
それで風呂場でルルさんに襲われてその装備を剥ぎ取られ…無理やり僕の服まで脱がされている。
「ルルさん何を…やめてぇー!!」
「ふふふ…いやでもその湯に浸かってもらうぞ!女のプライドをかけてな!!あとちょっとで……ふぅはぁふぃはぁ……コックリ!」
あとちょっとって何?鼻息荒くしてどこ見てますか?
ヤバイ!む、ムスコが…このままではいかん!
「分かりました!入ります!入ります!!」
「ちぃ……」
ちって…ノリでやってるか、本気かさっぱりわからない。
「ふん…宜しい! あと神々が使った水は聖水に変わって魔除けや飲むと病気とか魔力回復にもよいのだぞ!」
神が浸かった水は聖水になるらしい…ん?
「え…と……の、飲むんですか?……」
「………た、た、た、例えばの話じゃ!わかったならササっと入れー!」
ルルさんは急ぎ客室に戻り…僕はその後湯に浸かった。
うーーん…聖水ね…言われてみれば何かいつもと違う感じかする。
うむ…。
この…聖水。
飲んで見る?コックリ…。
いやいや……
しかし、聖水ってどんな味…?
いやいや!
「ふむふむ…」
お湯をじーと見つめた。
今この状況は僕としては複雑な悩みであった。
風呂を済まして出たらキッチンに電気が付いていた。
「あっ!ルルさんまだ起きてたんですか?」
「うむ 今食器を洗い終わったところだ」
ルルさんは夜食に使った大量の皿を綺麗に洗ってくれた。
母以外に始めてそのに立っている女性…。
なんか…不思議な気持ちになった。
「あ、ありがとうございます…」
「風呂上がりの一杯飲むか?水だがな」
ルルさんからコップ一杯の水を出してもらった。
……水。
「すみません、水はもういいです………」
「ん?あらそう?」
僕は未知の世界に足を踏み入れてしまった。