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「わーい♪ナグルファルだぁー♪これ乗るの久しぶりです」
「レヴィも乗った事あるんだ」
「もちろんですよ!私、これの運転上手だと主様に褒められたんです」
「そうなんだ!んじゃ運転はレヴィに頼むかな」
「任せて下さい」
しかし…レヴィの言葉をそのまま信じた僕は馬鹿だった。
確かに運転は上手だった。
「は、早過ぎ!山にぶつかる!」
「へへへ…あの程度の山余裕ですよ」
「もっと高度をあげて!」
「いざ!突撃!」
「レヴィィィィィィー!」
ただ高度を上げて真っ直ぐ飛べばいいのに…この狂龍は低高度で山をギリギリすり抜けるなどスリル満点な運転のせいで船酔いまでして気持ち悪い。
ヒューデン近くの上空から工事現場が見えた。
でも前よりあまり工事が進んでない。
ヒューデンに着くとイズリが出迎えに来てくれたが彼女の表情がなんだか暗い。
「やっと来てくれましたね…」
「何かトラブルでもありましたか?」
「それが…作業者の怪我が絶えなくて…」
「ん?何か事故でも起きました?」
「そういうことではなくて…丁度いい時間なので現場に行けば分かります」
物事を躊躇なくはっきり言うイズリが珍しく歯切れが悪くて何が起きてるか全く検討がつかない。
それで急ぎ現場に向かうと捨てられた民の作業者二十人が喧嘩をしていた。
しかし、喧嘩の割には殺伐とした雰囲気は感じなかったのでそのままちょっと様子を見た。
「あーあー…またやってる」
「レヴィは彼等が喧嘩してる理由を知ってるの?」
「あれは喧嘩ではないです」
「ん?どいうこと?」
「あれは今日の作業手順や作業場所の決める行為です」
「はぁ?」
捨てられた民達は意見が違うと力を示して勝った者に従うのが習わしで…彼等にとって戦う事は娯楽のようなものと魔王様は仰った。
今までは絶対強者レヴィとジズさんがいたから問題はなかったが彼等にとって力で劣る人族に素直に従う訳がない。
このままだと工事が終わるまでここから離れないなぁ…。
それでレヴィや僕達がいない間に作業責任者を決める為に明日は工事を中止して武道会を開く事にした。




