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ヤハウェとの戦にミカエルの圧倒的な力によって巨人達は一方的に蹂躙され、重傷をうけたユミルも死を覚悟して最後の足掻きをしていた。
しかし、ミカエルはユミルにトドメを刺さず退却した。
「あんなに怒っていたのに何故ユミルを倒さずに退却したかな?」
「さあ…」
「ふーん…」
「ハルトや…そんな目で見るな」
ナイア兄さんの「さあ…」は知ってるが言えないとの事だ。
その時、ルル姉が僕にその理由を教えてくれた。
「ルカから聞いたが…ここだけの話、あの二人がユミルにどんな制裁を降すか会議で150年間会議したらしい」
「へぇ…どんなエゲツない事を考えていたかな…考えるだけでゾクっとするね」
ヤハウェが退却した理由はリュクスの命令によるもので、知らないと言えカオス様にあんな事言ったにはあの二方が黙っているはずがないだろうな…。
「でも…まぁ、あの二人が手を降す前にオーディンとロキが討ち取ってしまってかなり落ち込んでいたらしい」
「そうか!余が最高神になってからしばらく毎日寝る時…目を閉じると凄く恐ろしい視線を感じたのはあの二方だったのか!くっそ!くっそ!」
その話を聞いたオーディンは当時、不眠症に苦しんでいた事を思い出したようで急に怒り出した。




