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バム奪還戦に勝利して帰った僕達をティルナノークのみんなは喜びながらバムとナイア兄さんを歓迎してくれた。
「ナイア…?」
「ただいま、オーディン」
「お、おう、おかえり…えらく縮んだな」
「どうだ若返った私が羨ましいか?」
「ふっ…バカ言え」
オーディンはナイア兄さんの姿に戸惑いながらも戻って来た事に凄く喜んでいた。
バム達と双子も戻ってこんな嬉しい時には宴でも開きたいが…一番功労者のレヴィとジズがいないため…それは二人が回復して戻ってからにした。
しかし、なんだろう?前々から何かが…大事な事を忘れている気がする…。
「あれ?ハルト君?カオスの部屋にいたんじゃなかった?」
「ああ…それが、バムの様子を見にちょっと飛んで行ったよ…マッハ32でね」
「はい?何言ってるの?」
カオス様に投げ飛ばされたとは言えなくて適当に誤魔化した。
これからバムもここに住むからまずアネイシア母さんを紹介しないと…急に遭遇して何かあれば面倒な事になる。
まあ…予想通り、お茶を出してきたミーシャはバムを一目見た瞬間ガチガチ固まって立ったまま、セシルはそのまま倒れた。
「バムさん、初めまして!あらまあー!綺麗なツノと瞳…まあまあ!」
「そ、そうですか?そう言われるとなんか恥ずかしいな…あはは」
超天然のアネイシア母さんは最強の神獣バハムートを見ても動揺せずバムの綺麗なツノと瞳を見てテンションが上がっている。
その姿を見ると本当に天然って凄いアビリティだと思った。
そんな微笑ましい光景の二人を見たルル姉は心底傷付いたような顔で落ち込んでいた。
「あはは…私の時とは全然違うね」
「ルル姉?」
「そうか…私ってバハムートとは比べられないほど危険な女って事か…」
きっとアネイシア母さんは悪気はない…でもこのまま放っておくと二人の関係に溝が出来る。
そんな事になる訳にはいかないと思ってルル姉をフォローした。
「ほら!ミーシャもセシルもあんなんだし、アネイシア母さんは…まあ、ちょっと特殊なだけだよ」
「あはは…あの二人は私の事知った土壇、清々しく人生諦めていたが…怖がれた方がマシじゃない?」
「…あはは」
もう…本当に面倒だな…。
仕方ない…久しぶりに口説くか!
「ルル姉…僕はルル姉が心優しい女神様だと知ってるし、僕はルル姉さえいればいいと思ってるよ?ルル姉は僕だけではだめなの?」
「ハルト君……」
「ルル姉……」
「ううう…もう誰も必要ない…私もハルト君さえいればいい」
「わかってくれて僕は嬉しいよ」
「ふふふ…そうね、いっその事この世界滅ぼして二人だけにしようかな…ふふふ」
「あ……」
片隅で不気味に笑っているルル姉を見ると不安になった。
ちょっと励ますつもりだったが…良くない方に転がっていく感じがする!
お願いだからヤンデレフラグだけは立たないでくれ…。




