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レヴィはバムに格下のように舐められた表情を見て急に激怒した。
「私をそんな目で見下ろすとは…お前は約束を破って今までギリギリ保てた対等な関係を崩した」
「レヴィ…落ち着いて!、今のバハムートは理性がないから」
二人は元々仲が悪くはなかった。
しかし、ジズを食い殺されたレヴィは未だにそれを根に持っていてバムもその罪悪感を感じ、ナイアの眷属になったレヴィとは同等な立場を維持して二人は細い糸の一つようなギリギリ関係を衝突せず保てていた。
それをバムは意識ない本能のままの状態でその約束を破ったのであった。
「だとしてもそれだけは許さない…今まで私がどんな思いで耐えて来たか…思い知れ!うおおおー!」
レヴィは全身に雷を放つと鱗から振動が発生し、まるで巨大な超音波カッターのようになった。
そのまま突進して体当たりをし、バムの全身に巻きつき高速回転すると金属が削られるような強力な火花が散っていた。
しかし、ナンムの加護によってバムは無傷でレヴィの鱗だけが損傷していた。
そして、バムは縄のように巻きついているレヴィの体を力で解いた後、強力な右腕のストレートがレヴィの頭に炸裂した。
だが、レヴィはそれを気にもせず尻尾を回転してバムの顔面にカウンターを入れた。
攻撃を避けず全て受け止めながらやり返しているレヴィの姿を見ていたエロスはドン引きした顔になっていた。
「うへぇ…レヴィヤターンが戦ってる姿は初めて見たけど…なるほど」
「レヴィの恐ろしいところは防御と回避を無視した特攻…相手が強いほどその攻撃手段が過激になります」
「そ、そう…これを見ると何故そのあだ名が付いたか納得した…しかし、どんなに攻撃したってルーティヤーには効かないぞ?」
「そうでしょうか?良く見てください」
「ん?う、うそっ!」
バムの全身を守っていた絶対防御を誇るナンムの加護にヒビが入っていた。
「そんなバカな…ティアマトのナンム加護に…」
「レヴィなら容易い事です」
「ん?…そうか!レヴィヤターンは元々ナンムの守護者!」
「はい…レヴィもまたナンムの守護を持ってます」
「ほぇ…しかし、それでもルーティヤーに勝つ決定の攻撃手段はないのでは?」
「さあ…」
その時、バルがへばった顔でナイアを呼びかけた。
「お兄ちゃん…先から結界作成に力を抜いてない?私今めっちゃきついんだが…」
「バル、すまん…私はもう限界でね…今の体じゃこれくらいしか…ちょっと休憩させて」
「そ、そうなの?し、仕方ないね」
「バル、頼んだぞ」
「えへへ、任せて!」
バルは兄に頼られて嬉しくて張り切っていたがナイアはお茶を啜りながらレヴィの戦いを見ていた。
「エロス様もお茶をどうぞ」
「おう、ありがとうよ!君、気が利くね」
「お、お兄ちゃん?」
レヴィとバムは益々激しくなって双方のナンムの守護も最早限界まで削られた。




