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予想通り目を開けたルル姉は不安そうな表情で落ち着きがない。
「今まで黙っていて……ごめん、騙すつもりはなかったの」
「そんな顔しないで…ルル姉が僕を騙す事はあり得ないと思っているし…それに僕が好きなルル姉は今僕の目の前にいる」
「ハルト君…」
「僕はルル姉の全てが好きだと言ったでしょ?」
「ふ〜ん…その言葉は私ともう一人の事も含まれると聞こえるが」
「あっ…そうなるね、えへへ」
「そうか…ハルト君らしいね、この浮気者め!」
「痛い痛い!やめて!頭潰れるって!」
ルル姉は拳で僕の頭をグリグリしながら怒ったふりをしていたが…嬉しいような顔をしていた。
欲張りで意地悪で我がままなルル姉だが…ルカを理解し、受け入れてうまく共存しているようで僕も嬉しかった。
僕はルル姉を幸せにしたい…そして、僕の意地のせいで酷い目にあったルカも幸せにしたい。
これは彼女に対して責任感より…あの時、彼女の好意が僕は嬉しくて、一緒にいると楽しかった。
たかがそんな理由で?と言われて彼女に拒絶されても構わない。
僕はどうしようもない欲張りだから…。




