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17話 その3

二人は待ちくたびれたような顔で僕の前に来た。


パッチ!パッチ!


二人は僕の頬の左右にビンタをした。


「痛い…なにすんの!お父さんにも打たれた事なかったのに…なんちゃって…」


怒ってる理由は言わずとも分かっている。


「なんで一人で突っ走るのよ!あんた…」


「私達…仲間ですよ、なのに…なんで…一人で…私達を置いて行くんですか…ばっかぁぁ!」


ギルドから僕の様子がいつもと違うのを感じた双子は…ギルドを出た僕をずっと付けていたと双子は打ち明けた。


お前ら忍者かよ…本当に気付かなかった。


ポーションや道具を急ぎ揃える姿を見てイビルゲートに黙って潜ると確信した双子は先に来て待っていたと話してくれた。


「いつも一緒にっと言ったじゃないですか!」


「…………ごめん」


リリヤは僕の胸を叩きながら涙を流した。


「ハルトがなにか悩みを抱えてるのは知っていたわよ…探索が上手くいかない時は突っ走して…時間に追われているよな感じだった」


そうか…僕の事よく見てていたんだね。


「でも…いつか打ち明けてくれると信じて待っていたわ…それなのに…」


「……ごめんなさい」


僕も胸が苦しくてなった。


「バカバカバカばかあああっ!一人で何やってるんですか!何かあったらどうするつもりですか!」


心配してくれてありがとう…でも今回だけは別問題だ。


「僕には事情があってね…今から最深部に行かないといけない…そんな危険な場所には二人を連れていけないよ!退けないんだよ!僕も…僕も…怖いんだよ…」


「だから三人で…」


「バカ言うな…歴代勇者が運良く生き延びたと言われた最深部だよ…それに……」


「それに…?」


「僕が死ぬより…イリヤとリリヤが死ぬのがもっと怖いんだ!解ってくれよ!」


僕は辛くて大声で切なく叫んでしまった。


僕の大切な…初めての仲間だ。


その双子に何かあったら死んでも楽に死ねない…。


「あんた、本当…バカね」


「そうですよ…本当に…どうしようもないバカですよ」


二人は優しく僕を抱きしめてくれた。


「それは…私達も一緒だよ……」


「ハルトさんになにがあったらと考えるたけで…怖くて辛いです」


……そうか…そうだったね。


イリヤとリリヤは僕に手を差し伸べた。


「一緒に…ねぇ?」


「三人ならきっとやれますよ!」


「………うん」


二人の手を取って彼女達に向けたハルトの顔は無垢な子供のような純粋な笑顔だった。


「私…その顔一生忘れられないよ…ハルト」


「ハルトさんと私の為にも負けません!」


「うん」


もう僕は怯えない…挫けない…逃げない!


死の恐怖や不安を乗り越えた三人は電光石火の如く下へ下へと降りて行った。


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