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16話 その5

それとクイル兄達は修業の為に聖都に残った事、ガランディアの事、ここまではそのままで話したが…神殿からここまでの話は言えなかった。


「そうか…クイルめ…やっと火がついたか」


おじさんはこうなる事を予想して僕を組み込んだみたいだった。


「しかし…よくそんな状況でやり遂げたな…よし!今日の日付で…ハルトは昇級を認めて上級者冒険者に認定する!」


「えーー!やったじゃん!ハルト!」


「おめでとうございます!ハルトさん!」


「まじて?ありがとう!おじさん!みんな!」


ん?受け付けがそんな権限…あるの?


僕は今日まで知らなかった…おじさんがギルドマスターだった事を…。


そして…おじさんの名前が…オジーベルクロって事を…。


だから…みんなもおじさんと呼んでいた。


「今日はぱーっとお祝いしよ!!」


「そうです!!」


「あはは…気持ちは嬉しいけど…流石に今日は疲れた…明日にしない?」


「ん?」


「は、はい…」


珍しくお祝いの誘いを断った僕に違和感を感じたようでイリヤとリリヤは戸惑う様子だった。


「……わ、わかった!」


「……はい!明日にみんな呼んでぱーとやりましょう!」


「ありがとう…んじゃ先に宿に戻るね」


「わかった……」


「はい……」


「…………」


疲れたのは本当だが…お祝いを断るほどではない…。


僕は…今夜、戻らずに最深部まで突っ走らないといけない。


体もかなり鍛えた…。


ルル姉の加護のおかげで誰よりも強くなった自覚もある。


だが…相手は勇者一行を壊滅まで追い込んだ未知の存在。


それに双子を巻き込みたくない…例え僕が死ぬと分かってもだ…。


僕は宿の帰り道にある市場で沢山の道具と薬を買い込んだ。


今日の夜から攻略開始だな…ごめん…イリヤ、リリヤ…。


やっと宿に戻った僕は準備を済まして休憩をした。


ああっ!久しぶりのフカフカで暖かいベット!気持ちいい……死ぬならここで永眠したい。


ルル姉の器を手に取って見つめながら気持ちの整理をした。


もう、ちょっとだよ…ルル姉…僕、頑張ってみるよ。


暗い夜…月が登って薄ら闇を照らす時…。


僕はラズリックさんから貰った装備をつけて一人でイビルゲートに向かった。


行くぞ……最深部まで!

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