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2話 その6

ルルさんは左手から青い光を取り出してそれを僕の頭部に押すように入れた。


「よいーしょっと!これはね…アストラルラインっていうものでね…普通の魔力回路じゃ君の魔力に耐えられないから私の一部を切り取って君に移植している」


ルルさんの一部…。


「ふふふ…光栄に思え!向こうの世界じゃ国を売っても手に入れないシロモンだぞー」


「そんなに凄い…うぐ…何…この…全身の痛み…あーぁー!!!!」


「ハルト君!耐えるんだ!」


全身が激痛に襲われて…あまりにも激しい痛みで地面に倒れた。


「構成が始まった!上手くいったようだな…さって…仕上げと行くか!」


ルルさんが両腕をひらげだ瞬間、僕とルルさんの体から同時に青い光が発光して綺麗なサファイアの輝きのような光に包まれた。


「ハルト君!君の体の中から構成されているアストラルラインを良く感じろ!そこで自分の魔力の中心まで繋ぐように念じろ!君の魔力は巨大だ!すぐ分かるはず…私もサポートするよ!」


「ぐぁー痛…いが 頑張ってみます…くっ…」


時間と共にその光は収束し始まった。


ルルさんの表情を見ると僕は上手くやれてるようだった。


それにしても、自分の魔力?どんな物なんだ?見た事無いから分かる訳がない…


それに痛くて意識が飛びそうだった。


その時…蠢いてるように渦巻く黒い物体の影を感じ取った。


「ん?な、何だ!この気色悪い黒いウズは?凄く気持ち悪い…こんなのが僕の体に?」


思わず口に出した。


「ハルト君それだ!それが君の魔力だ!つなぐんだー!」


えーーーー!ウィルスか何かの病気かと思ったよ!


「は、はい!」


ルルさんの命と形見のようなこのアストラルライン!失敗は許さない…。


青光をその魔力に繋ぐように強く念じると生きてるようにアストラルラインが僕の魔力に融合し繋がれた。


全身に発光した光が僕の体に吸い込まれて消えた。


「上手くいったようだ…おめでとう、ハルト君!」


「ルルさん…何故か体が凄く軽いです…」


こんな感じ本当に久しぶりだ。


この何年間…体が怠くて色んな病院に通って様々な薬を飲んでも治らなかった。


嬉しくて体をピョンピョン飛び跳ねて見た。


「そうじゃな…それが本来の状態であろう…いままで溜まったマナが回れず…うっ!!はぁはぁ…」


ルルさんは辛そうな表情で座り込んでしまった。


「ルルさん!!!!」


「あはは…最早、限界見たいだ…力が入らないのう…しかし、ハルト君が助かって嬉しいよ、最後は自分を誇らしく逝ける…本当に気が楽になったよ…」


「そんな!!まだお礼も…話したい事もたくさんあるのに…ダメだよ!」


僕はルルを強く抱きしめて子供ように泣き始めた…。


「ああ…この世界の最後の情けか…?ありがたい…やっと君に触れる事が出来た…」


ルルさんの手が僕の頬に触れた…。


暖かくて柔らかい女の子の手…。


「ああ…この温もり…愛おしい男の子の涙と暖かい胸の中で散りゆく…女神冥利に尽きるのう…ふふふ」


ルルさんの笑顔の前で泣いてはいけないと思った。


だが、涙は止まらない。


泣き止む事も出来なかった。


「あーぁっ!ルルさん!!」


「そう悲しまなくて良い…出会いと別れはどの世界でも同じ理、自然な事…」


「でも、早すぎるよ…それに僕は何もお返しができない…酷過ぎるよ!」


「ふふふ…すまんな…こんなバットエンディングでな…ハルト君…ありがとう…君と会わせてくれたこの世界に感謝を……」


「ルルさーーーーーん!」


僕の頭を撫でいたルルさんの手はもう力が入らないようで地面に落ちて…僕はその手を握った。


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