#2
お久しぶりです!やっと…
かくして、遂に俺のスマホの「サークル」アプリに、「Vtuber企画委員会(仮)」なるグループが出来た。メンバーはモチロン俺、桐生委員長、アホ力石、ナオ坊の4人である。
このグループは、やると決まったら早速委員長が作ったものなので、背景もトーク画面もまるで雪国の如く真っ白である。綺麗だ、できればこのまま何もない状態を維持していて欲しい。
と、俺が願った矢先、そのグループにメッセージが入った。
<よろしくね!((((*゜▽゜*))))
…委員長だ。
「あの…委員長?目の前にいるのに何でメッセージ入れたんですか?」
そう聞くと、
「何か書いとかないと頓挫しちゃいそうだったから。」
と言われた。頓挫してて良かったのに。クソッタレが。
ナオ坊の家から帰った後すぐに、サークルの通知が来ていたようだ。ベッドに寝転びながら通知が来ていたのを知り、直ぐに開くとやはりVtuber企画のグループにメッセージが入っていた。
「…まあ、見ておくか。」
そう言いながらグループ名をタップし、トーク画面に入る。
<本格的にVtuberをするとして、設定とか考えないといけないと思うんだけど、何か良い案ないですか?
委員長からの言葉に力石が反応していた。
<童話なんてどうでしょうか?皆モチーフがわかりやすいのでオススメです!
<確かにそれなら良いかも!
委員長は童話モチーフのキャラに乗り気みたいだ。
「童話ねぇ…」
童話と言っても、いろんなキャラクターがいる。例えばシンデレラや白雪姫、赤ずきんに人魚姫。種類があるのでその中から選ぶのは大変だ。
「んー、童話って男のキャラ出てたっけ?」
メジャーな童話でも、ほぼ女性しか出てきていない気がする。
「んー、んー?…そうだ!」
キャラがないなら作れば良いんだと言うことに気づくやいなや、俺は直ぐにメッセージを送った。
<日本の昔話とかどうだろう。例えば桃太郎なんて使えそうだと思う。
…ハッ!しまった!俺は何でコイツらに協力しているんだ!
送信取り消しボタンを押そうとした瞬間、
<それ良いね!ナイス西畑君(o゜▽゜)o
委員長からメッセージが飛んできた。さらに別の奴から
<ナイス西畑君!よし。君は今から我々のリーダーだ!笑
「ふざけるな力石ィ!誰か確認するまでもなくお前だって分かったわ!つーか何だよリーダーって、キャラのモチーフ出しただけでリーダーになるとかおかしいだろ!?」
<私も獅恩がリーダーで良いと思うな
はん?何だとナオ坊?
<アイツが役職ないのは腹立つ
…いやいや、力石だって役職ないだろ。アイツ何もやってないだろ。
<ちなみに獅恩、恵馬君はキャラクターのデザインしてくれることになったからヨロシク ^^
どうやら俺は強制的に、強引にリーダーにされたようだ。なんでやねん。というか力石アイツ絵書けるのか、凄いな。
イヤイヤイヤ!今まで力石が絵を書いてた所なんて見たことないぞ!大丈夫なのか!?とりあえず聞いてみるか…
<そうは言うが力石、お前絵なんて描けるのか?
<モチロン!こんな感じだよ~
というメッセージと共にファイルが送られてきた。それを開くと、
「えっ…」
ファイルの中身は…恐らくラフなのだろう。色無しで書かれているが文句なしに上手い。
見た感じだと少し迫力は増されているが、どうやら先日見せてもらったvtuber、『ゆうちゃる』の絵だとわかった。
<と言うわけで、僕はキャラクターの元絵をかくので、西畑君はリーダーとして頑張って!
マジかよ…やっぱり関わるんじゃ無かった…
そう思った俺に賛同するように、窓の外ではカラスが鳴いていた。