序章
ジャンルを問わず、お話が大好きです。
趣味で書き始めたので更新ペースはまちまちですが、暇つぶしなどに気楽に読んでいただければ幸いです。
俺達はどこかで間違えたんだろうか。
ただ惰性で流されるのではなく、現状を変える努力をしていれば。
そうすれば、少しは違ったんだろうか。
自分に向けられた銃口を見つめながら、そんな場違いな感傷に浸ってしまう。
間違いというなら、ここまで生き延びてしまったことが、そもそもの間違いなのかもしれない。
とっととくたばっていれば、少なくともこいつと銃を向け合うようなことにはならなかっただろう。
双子の弟のこいつと…。
--------------------------------------------------------------------------------
数年ぶりのホワイトクリスマスに沸き立つ、ひどく冷え込んだ夜。
まるで猫を捨てるように、大き目のダンボール箱に入れられた双子が保護された。
身元がわかる物は一切身につけておらず、唯一首にかけていたシルバーのシンプルなペンダントには、それぞれ「樹」「葉」と刻印されていた。
状況から見て双子と思われる2人の赤ん坊に関する手がかりはなく、近隣の病院での出産記録もないことから、身元不明の捨て子として2人はとある施設に引き取られた。
身寄りのない子供を引き取り、”特別な教育”を施す養護施設である「志庸館」で、双子はすくすくと成長していった。
「よーう、なにやってんだよ、置いてくぞ!」
「待ってよ、いつきー。」
「ほら、行くぞ。」
「うん。」
元気で活発な樹と、優しく穏やかな葉。
正反対の双子だったが、助け合い互いに足りない部分を補い合う2人は、10歳を迎える頃には施設内で右に出る者はいない「実力」を身につけていた。