キャラクター小説を書くにあたっての最小化(あるいはミニマリズム)というものを考える
ミニマリズムと聞くと何を思い浮かべるでしょうか
世間一般の認識としてはおそらく断捨離的な、部屋のインテリアに関するものがあるのではないかなと考えます
ここで書くのはそれには一切関係ありません
何より私は片付けるの苦手というか片付ける意義を見出せずに散らかり放題になるというか、断捨離からは程遠い人間なので
キャラクター小説(キャラクター小説の定義については個々人でお願いします)を書くにあたって最小化をするということを考えていきます
それは私が勝手に作り出した概念ではなく、半世紀前のアメリカ文学で開発された技法のようなものに当たります(レイモンド・カーヴァーが代表した”ミニマリスト”らしいです 読んだことはないので語れません)
つまり、キャラクター小説を書く際に装飾を最小化し、シンプルなものとして仕上げるということです
一つ例を出してみます
有名な某所発のコピペ、色々な作家が書いた『後ろで爆発が起こったので振り向く』、という奴
これを最小化して書くと、以下のようになります
背後から爆発音が聞こえてきた。驚き、振り向く。
ほぼ基本形に正しいですね
必要な情報、『後ろから』『爆発した音が』『聞こえる』『だから』『驚いて』『後ろに』『振り向く』
これを伝えることができたなら良しとするような書き方なわけです
一人称小説を前提に置いているのでこの文の場合主語はなし
『だから』と『後ろに』は省略する、なぜなら省略しても読んでいる人に伝わるからです
なぜこういうことをするのか
これが純文学だったなら、装飾も必要でしょう 感情を伝えるのが一義ですからね
しかし私たちが書こうとしているのはキャラクター小説です
地の文ではなく会話文が主役と捉えてしまってなんら間違いはない
ならば地の文はなるべく小さくした方がいいのではないか? と考える
キャラたちが会話をして、キャラを読者に伝え、キャラを感じてもらう これが一番大事です
地の文でもキャラクターを伝えることは可能ですが、いくらか透明度が落ちます
だから結局は会話文でキャラクターを伝えることに腐心するのが最適
ゆえに地の文はなるべくダイエットさせるのです
どこまでダイエットさせるのか、という話ですが
読者に筆者が考えている情報を全て伝えられる限りはどこまでも、ということになります
伝えられないならそれは無理なダイエットという奴です
会話文にはミニマリズムに即したものではなく、そのキャラクターが自然に言うであろうものを書いていくのがいいと思います
以上、大体私が考えるキャラクター小説におけるミニマリズム論です
しかしここまで語っておいてなんですがミニマリズムを追求すると場面展開が速くなります
そうなると、情報はそこにあるかもしれないがそれがきちんと読者に伝わらないのではないかなんて考えます
また私はミニマリズムを採用した方が売れる小説が書けると思っているからこれを書いています
その割にはそこまでミニマリズム的でもない小説がベストセラーになっているのでこの考えは本当に正しいのかという念に駆られたりもするわけです
つまり、意見を下さいということです。