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其の質 決戦 -隆生ー8

(いつか、また逢う日まで、ほんの少しの間、さよならだな。壮軌……)

 しばらくして、俺は涙を拭ってセインさんを見上げた。

「もう、大丈夫。ありがとうセインさん」

「隆生、無理するな」

「本当にもう大丈夫。壮軌は帰ってくるって言ったから……。いつまでもめそめそしてないで探さなきゃな」

 セインさんから身体を離して笑う。

「行こう、皆待ってる。ちゃんと説明するって言ったしね」

「いや、私達はあちらへ行こうと思う。長がいなくなった影響がどのように現れるかわからないし」

「そう、なんだ」

 壮軌に続いてセインさん達まで俺の側から居なくなる。

 それを寂しいと思ったのが顔に出たのか、セインさんが俺をまた抱き締めた。

 その上で、ラズナが俺の頭をぐりぐりと撫でる。

「いつでも会いにこれますから」

「そーだ。次会う時はもうちょっと鍛えとけ」

「えー、隆生は今のままでいい!ラズナ兄様みたいにごついのは嫌よ!」

 ユーリの言葉に皆が笑った。

 俺もつられて笑って、セインさんが安心したように言った。

「向こうの様子を確認したら、戻ってくるよ」

「うん」

「壮軌なんかより、あたし達の方が早いに決まってるんだから」

「そうだね」

「うじうじしてんじゃねぇよ、隆生」

「あはは、痛いよ、ラズナ」

 頭をぐりぐりと力任せに撫でるのは止めて欲しい。

 けれど、そんな行動で俺の寂しいと思う気持ちが軽くなったのも、また事実だった。

「じゃ、行って来るね」

「うん、いってらっしゃい。みんな」

 だから、桜を通って彼らが姿を消したときも、俺はちゃんと笑っていられた。

「よし、俺も帰ろう」

 裏庭から戻り、屋敷の奥で待っていた弥市達に事の次第を話す。

「隆生さん、貴方はなんて向こう見ずなんですか」

 俺を心配した惣介から小言を喰らって、俺の……俺達の戦いは終わった。

「隆生兄ちゃん、壮軌兄ちゃんは?」

「ちょっと、遠くに行っちゃったんだ。でも、すぐに帰ってくるって言ってたよ」

「ほんと?俺また剣術教えてもらうんだ!」

 無邪気な子供たちの言葉に笑みが零れる。

「早く、帰ってこいよ……」





其の質『決戦』 終


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