其の質 決戦 -隆生ー6
「終わったな……」
「終わったね……。ありがとう、皆」
背中が熱くなって、膝から力が抜ける。その場に膝をついた俺を、壮軌が支えてくれた。
背中から三つの気配が出て行くのを感じ、ほっと息を吐く。
「君も、ありがとう。お疲れ様でした、隆生」
最後に出たセインさんが、後ろから俺を抱き締めた。
少しの抱擁の後、促されて勃ち上がる。
「本当に、終わったんだな……」
「でもこれからでもあるんだよね……」
少し離れた場所でラズナとユーリが話しているのが見えた。
長との戦いは終わったけれど、セインさん達にはまだ妖達の里をどうにかしなくてはいけないのだろう。
長無き今、彼らが妖達の統率者でもあるのだから。
ふと、俺は傍らの気配がなくなっているのに気付いた。
「セインさん、壮軌は?」
「あぁ……。そういえば姿が見えないな」
(厭な感じがする)
俺は何故か確証のないまま裏庭へと急いだ。
「壮軌、どこだ?」
辺りを見回しながら桜の木まできた時、その根元に見慣れた姿を見つけてほっと息を吐いた。
「壮軌、此処にいたのか」
「隆生」
壮軌の胸元が、何故か朱に染まっているのに気付く。
「怪我、したのか!?」
俺は慌てて彼に駆け寄った。長の攻撃を受けていたようには見えなかったのに、壮軌はかなりの深手を負っているように見えた。
「長も消えて、俺は自由になったんだな……」
「そうだよ。もう誰も、お前を操ったりしない」
自由になった。と言いながらも、壮軌の表情は冴えない。
じわりじわりと広がっていく壮軌の胸の染みに、何だか首の後ろがちりちりする。
「俺は、長の一部だ。……この意味が、わかるか?」
壮軌の言葉に、先ほど長が俺に向かって言った言葉が重なる。




