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其の質 決戦 -隆生ー5

 たいして構える事もしない長に壮軌と二人で向かっていく。

 先に仕掛けた壮軌の斬撃を事もなくかわし、長が壮軌に斬りかかった。

「壮軌!」

 間一髪でそれを避け、壮軌が長との間合いを開ける。

 無事を見届けてから俺も向かっていったが、容易く止められてしまった。

『我を消せば、壮軌も消える。それでもいいのか?』

 一瞬の鍔迫り合いの後、すぐに弾き飛ばされた俺に向かって長が言う。

 その言葉の意味を、この時の俺は理解できていなかった。

「どういうことだ?」

『それは』

 長が答えようとしたのを遮るように壮軌が動いた。

 俺に意識を向けていたからか、長の反応が少し遅れ、壮軌の刃が左肩を掠める。

「隆生、今だ!」

 裂けた衣に長が気をとられたのを察した壮軌が俺向かって声を上げた。

 俺は壮軌の方を向いている長に向かい、渾身の力を込めて持っていた水月を突きつける。

 避けられるかと思っていた刃は過たず長の胸を貫いた。

『な……』

 長の瞳が驚愕に見開かれる。

 俺は、長の身体を抱き締める楓様を、見た。

《これで、終わりにしよう……》

 セインさんの声がして、全身が熱くなる。

 そして、長の胸を貫いたままの水月から迸るのは浄化の炎。

『これは浄化の力……。お前は、お前達は、この力まで使えるのだな……』

 自ら後ろに下がり、身体から水月を抜いた長が呟く。

 その身体は青白い炎に包まれていながら、表情からは狂気の色が消え、どこか安らかにも見えた。

『珠鸞、愛しい貴方……』

『かえで、か……?』

 膝をついた長に楓様の姿が重なる。共に浄化の炎に包まれて、やっと長にも彼女の姿が見えたらしい。

 呆然と見上げる長の頭を、楓様がかき抱いた。

『妾は、常に貴方の側に居りました。そして、これからも……』

『そうか……我が見えていなかっただけだったのか……』

 満足そうな長の言葉と共に、二人の姿は静かに消えていく。

 後には、俺と壮軌の二人が立っているだけだった。


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