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其の質 決戦 -隆生ー2

『そなたの、妾と同じ《大いなる力》が必要なのだ』

 そう言った彼女は、俺たちがどうすればいいかを端的に教えてくれた。

「隆生……妾の遠い愛し子。そなたには辛い思いをさせるが、この通り、頼む」

「楓様、どうか立ってください」

 その場に膝をついた彼女が、俺に向かって平伏したのに焦って、俺は手を差し伸べた。

「俺で役に立つのなら、なんだってします。

 俺だって、みんなと一緒に戦いたい……。守られてばかりじゃ嫌なんです」

「本当にすまない……。壮軌を……、長を頼む。……」

 俺の手を取って立ち上がった楓様が、俺にしか聞こえない小さな声で囁く。

 それに頷くと、俺の手を押し頂くようにした楓様の姿が次第に薄れ、やがて溶けるように消えた。

「隆生、母上は、何と……?」

「俺と……、セインさん達が同化して戦えば、長に勝てるかもしれないって」

「しかしそれでは」

「いいんだ!それで皆を守れるんなら、俺は後悔なんてしない」

 元より既に両親はとうにこの世を去っている。

 俺がこのまま人でなくなったとしても、悲しむ人なんて居ないのだから。

「だから、セインさん達は何も思わなくていい。これは俺の望みでもあるんだ」

「……わかった。ラズナ達には私から話そう」

 相変わらず長は少し離れたところでにやにやと(いや)な笑みを浮かべてこちらを見ていた。

(あの人には楓様の姿が見えていなかったのだろうか?)

 すぐそばに愛しい人が居るのに、悲しみに狂った瞳にそれは映らない……。

 それはなんて哀しいことなんだろう。

「隆生」

 呼ばれてはっと皆の方を見る。

そのまま彼らの方へ近づいていくと、セインさんが俺の頭を撫でた。

「本当に、いいんだね?」

「うん」

「君は、昔も今も、本当に変らないね……」

 苦笑混じりに言われた言葉は、きっと前にセインさんと同化した時のことを言っているのだろう。

 セインさんが俺の額に額を合わせる。目を閉じて身体の力を抜くと、あの時と同じようにふっと彼の気配が自分の中に入るのを感じた。


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