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其の質 決戦 -隆生ー4
「駄目だ、壮軌……ッ!」
庭に駆け下りセインさんの前に立つ。
「あぁ……ッ」
「隆生!」
壮軌の爪が俺の胸を貫いて背中に抜けた。
今しかないと、俺は壮軌の腕を抜けないように掴んで叫んだ。
「俺の生命を代償に願いを叶えろ!」
俺達は生命を代償にたった一度だけどんな願いも叶えられるのだと、楓様が言った。
俺の願いは、壮軌が長の傀儡でなくなること。
とてつもない痛みを堪え、壮軌を見つめる。虚ろだったその瞳に意思の光が宿ったのを見つけて、俺は掴んでいた腕を離した。




