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其の質 決戦 -隆生ー3

(せめて、壮軌が正気に戻ってくれたら)

 そう思った瞬間、背後に人の気配を感じた。

 はっと振り向いた俺の前に綺麗な打掛をまとった女性が立っている。

「貴女は……?」

 どこかしら疾うに亡くなった母と面差しの似たその女性は悲しげな表情で外を見た。

『妾の愛しい子供達』

 直接頭の中に響いたその声に女性の正体を知った。

「楓、様?どうして……。貴女は」

『妾の(こん)は壮軌に。けれど(はく)はあの人の傍に居た』

 狂気に支配されたあの人には気づいてもらえなかったけれど。

 そう言って彼女は寂しそうに微笑んで庭を、壮軌を指さした。

『あの子を助けたい?』

「出来るなら、傀儡なんかじゃない本来の壮軌に戻って欲しい」

 外ではいまだ激しい攻防戦が繰り広げられている。

 いつの間にかユーリの姿が男性になっているのに気付いた。

 セインさんの話では彼は強すぎる力を抑えるために女性体になっていたということだから、元の身体になってなお長と壮軌の方が強いのか……。

 と、壮軌の攻撃を避けきれなかったセインさんの肩から鮮血が散る。

 痛みに顔を(しか)めたセインさんの前にラズナとユーリが前に出、壮軌に攻撃を仕掛けた。

 それによって壮軌もまた傷つき血を流す。

 見ていられなくなって、俺は楓様に詰め寄った。

「俺はどうしたらいいですか?このままじゃ、皆が、壮軌が!」

『妾と同じ血を持つそなたにしか出来ないことがある』

「それは?」

 俺にできることならなんだってする。もう見ているだけ、守られているだけは嫌だ。

「俺は壮軌を助けたい。彼をもうこれ以上、長の好きにさせる訳にはいかないんだ!」

 そう叫んだ俺に、楓様があることを教えてくれた。

 その間も四人の戦いは苛烈(かれつ)を極めていく。

 壮軌の太刀を弾き飛ばしたセインさんがよろけて均衡を崩した。後の二人がそれに気づくより早く、壮軌が右手の指を揃えてその爪を剣のように伸ばす。


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