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其の質 決戦 -隆生ー2

「あれは、長の傀儡(くぐつ)よ……。セイン兄様、どうしたら」

「とっくに長が結界を張ってるだろうな」

 三人は俺を守るようにして、長と壮軌を警戒していた。

「勝算は?」

「……ない。だが、黙ってやられるわけにもいかないだろう?」

 ラズナの問いに答えたセインさんが俺の腕を引く。

「隆生はここにいて」

「俺にできることはないの?他の妖みたいに俺の血を」

「そんなことはできないわ!」

 使えないのか。という言葉はユーリの声に掻き消された。

「あたし達をその辺の低級と一緒にしないで。貴方の血なんかなくったって兄様は強いんだから!」

 俺の右手をぎゅっと握りしめた彼女の手が小さく震えていて、本当は彼女も不安なのだと知る。

 だから俺はその手を握り返して笑みを浮かべることしかできなかった。

「ごめんなさい。でも、もし俺にできることがあったら言って欲しいです」

 そう言った俺をセインさんとユーリが抱き締める。

『今生の別れは済んだか?』

 長の退屈そうな声と共に、殺気が叩きつけられた。

「なるべく離れていて」

「……わかった」

 外へと向かう三人とは逆に部屋の中ほどまで下がる。対峙する五人をただ見ていることしかできない自分が歯痒い。

(壮軌、俺はどうしたらいい?)

 セインさん達と壮軌が刃を交えるのを少し離れた場所で長が口の端を上げて眺めていた。

 そこに三人が攻撃を仕掛けるも、(ことごと)く壮軌に阻止され、反撃される。

 数の上では有利なはずのセインさん達に次第に疲労の色が見え始めたけど、対する壮軌の方に疲れは全く見えなかった。

「あぁ!」

 壮軌の攻撃を避けそこなったユーリに向かい、壮軌が太刀を振り上げる。

 寸での所でラズナが割って入って大事には至らなかったけど、このままではセインさん達が負けてしまう。


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