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其の質 決戦 -隆生ー

『やっと見つけた』

 地を這うような低い声が頭の中に響く。

 ラズナが障子を引き開けると、そこには一人の男が浮かんでいた。

「あれが、長?」

 鮮やかな常盤色の髪を風に靡かせた美丈夫(びじょうふ)が、虚ろな瞳で俺たちを見下ろしている。

「そうだよ、隆生。あれが妖の長にして私達の父だ」

 セインさんが俺を庇うように前に立つ。と、壮軌が部屋を出た。

「壮軌?」

 俺の声に答えず、ふらふらと引かれるように長の足元まで行った壮軌に、長が満足そうな笑みを浮かべた。

『お前が居れば、邪魔者は全て消せる』

 その言葉と共にこっちを向いた壮軌の顔からは一切の表情が消えて、まるで別人のよう。

「壮軌に何をした!」

『何も。ソレは元々我の傀儡にすぎぬ。……そなた』

 思わず前に出て叫んだ俺の前に、あっという間に長が立ちはだかり、気付いたときにはその腕に捕われていた。

『そなた、楓の縁者か……?』

「知らない!離せ!」

 もがいても拘束する腕の力は緩まない。

『お前は、楓と同じ力を持っているのか……。だが楓ではないお前など要らぬ』

 まじまじと俺の顔を見ていた長がつまらなさそうにそう呟いて俺を放した。

 蹈鞴(たたら)を踏んだ俺をセインさんが抱き留め、背中に隠す。

『さぁ、まずはこやつらから消せ』

「御意」

 聞いたことのない冷たい声の響きにはっと顔を上げると、セインさんの肩越しに感情の色が全く見えない壮軌と目が合った。

「まさ、き?」

「隆生、もう彼は君の知っている壮軌ではない」

 呆然と見上げる俺の手を、左右からラズナとユーリが握る。


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