其の肆 血族 -隆生ー3
「あ……。すいません、俺」
「話を、聞いてくれないか?」
ラズナの言葉に頷いて、家に入ってもらおうかと振り向いた視線の先に壮軌がいた。
「隆生、そこに居たのか」
壮軌が俺に声をかけたのと同時にユーリが壮軌に向かって走り出す。
「壮軌!何故お前が生きている!セイン兄様をどうした!」
そう叫んで掴みかかろうとしたユーリが寸での所で何かに阻まれるように弾き飛ばされた。
倒れるユーリを一瞬の間にそちらへ移動したラズナが抱きかかえるのを、困惑の表情を浮かべた壮軌が見ている。
「お前、本当にあの壮軌か?」
「俺は壮軌だが……、隆生?」
立ち尽くす三人に近寄ろうとした途端、激しい頭痛と耳鳴りが起きてその場に座り込んだ。
「痛い…、くっ」
「隆生、大丈夫か?」
駆け寄ってきた壮軌が心配そうな声音で問うのに小さく頷いて答える。
閉じた目の裏を幼い日の出来事から順に浮かんでは消えていく。これは俺が無くした過去なのだろうか。
そして、 俺は全てを思い出した。
記憶を無くして不老の身体となった理由も、何故妖が寄ってくるのかも……。
声も出せずに蹲っていると次第に額と背中が熱くなってきた。
「隆生、額に印が」
俺の顔を覗き混んできた壮軌の言葉に思わず顔を上げるのと同時に背後から伸ばされた逞しい腕に抱き締められた。
「隆生。今までありがとう」
壮軌によく似ているけど、それより少し低くて柔らかい声。俺はこの声の主を知っている。
「セイン、さん……」
ゆっくりと腕を解いて振り向くと、ラズナ達と同じ異国風の衣装をまとい、若草色の髪を風に揺らして立つ男性―セインさん―がいた。
「セインさんが、封じていたのは、壮軌?」
「そうだよ。隆生はあの子に会った?」




