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其の肆 血族
「本当に、ここにセイン兄様がいるの?」
月が厚い雲で覆われた闇の中、小さく女性の声が響く。
「あぁ。確かにあれは兄者の気配だが……」
「どうしたの?ラズナ兄様」
じっと前方を見つめる影に、小さい方が声をかけた。と同時に雲が晴れて月が顔を出した。
月明かりに照らし出された二人の姿は人のようでもあるが、やはりどこか異質だ。
ラズナと呼ばれた方が小さい方に向き合うと手を伸ばしてその栗色の髪を掻き混ぜるように撫でる。
「いや。兄者の気配が別の気配と混ざり合っているにが気になっただけだ。ユーリ」
「あの子も、一緒にいるのよね」
「あぁ。それも行って確かめないとな」
その声を最後に月が雲に隠れ、二人の気配も闇に溶けていった。




