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其の弐 神木 -壮軌ー4

 先程、人を超えた力を発した隆生の方が、俺に言わせれば『何者か?』なのに。

 それでも、あえてそのことには触れずに隆生に向かって手を差し伸べた。

「帰ろう、隆生」

「あぁ、きっと皆心配してる」

 重ねられた手を強く握って《道》を通って俺達は屋敷に帰った。

 とても長い時間が過ぎたようにも思うのに、まだそんなにも日は傾いてはいない。

 隆生の部屋に戻って一息つく暇もなく、帰りに気付いた子供達と共に部屋にやってきた弥市と惣介に俺達は事の仔細を求められ、

『隆生が変な輩に連れ去られたので迎えに行った。もう心配ない』

とだけ説明し、後は疲れたからと言って下がってもらった。

「俺って、一体何なんだろうな」

 畳の上に大の字に伸びた隆生が、天井を見上げてぽつりと呟く。

「あの木霊が俺の《力》を奪えば、妖の王になれるって言ってたけど、俺のどこにそんな力があるんだろう」

「さぁな。力の事は俺にもわからないが、隆生は隆生だろう?」

 俺がそう応えると、ごろりとこちらを向いてにっこりと笑った。

「そっか。俺は俺だよな」

 安心したような顔で笑う隆生に、俺は続けようとした言葉を飲み込んだ。

『けれど、これからも今日みたいな事が起きるかも知れない』

 解らない未来(さき)のことを告げて不安がらせるよりは、もしそういう事態に陥っても俺が何とかすれば良いだけの事。

 何故、隆生を守らねばならないのかもわからないまま、それを使命のように感じている自分がいた。

 そのうち、夕餉の支度ができたと呼びに来た正太と共に移動しながら、平穏無事に過ごしたいものだと笑いあっていたが、それが叶わない事だと知るのは桜が咲き始めた頃の事だった。




其の弐『神木』 終





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