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其の弐 神木 -壮軌ー2

「……終わらせてやる」

 誰へともなく呟いて、再び俺に向かってきた透を迎え撃とうとした。

 気持ちに迷いがなくなったせいなのか、刀身に今までは見られなかった焔がまとい付き妖力が高まっていくのを感じる。

 迷うことなく透の頭上へ焔をまとう刀を振り上げたその時、カッ!と視界が白く輝いた。

「隆生!」

 突然の事に訳がわからず隆生の安否を確認する為に桜の木を見ると、隆生の身体を拘束していた木の根が見る間にぼろぼろと砕け散り、立ち上がった隆生が男の腕を掴んでいる。

 半眼になった隆生が小さく口を開いた。

「……お前は、許さないよ」

 隆生が目を見開くと光が強くなり全てを包む。

『嫌だ、我はまだ消えたくない!最強の力を手に……!』

 白く塗り潰された視界の中、男の悲鳴のような声が響いた。

 あまりの眩しさに目を閉じ、しばらくしてから目を開けると桜の根元に隆生と黒い髪の男が、少し離れた場所に透が倒れている。

 抜いたままだった刀を仕舞って駆け寄り、隆生を抱き起こす。

 首筋に手をに触れると、そこは確かな拍動を伝えてきた。

「隆生、大丈夫か?」

 そのことにほっとして身体を揺すると、瞼が震えてゆっくりと目を開けた。

「まさ、き……?お前が、彼らを?」

 辺りを見回し、倒れている二人を不思議そうに見た隆生が俺を見上げて呟く。

「隆生…。覚えていないのか?」

「何を?」

 怪訝そうに俺を見る隆生は、自分が発した《力》に気付いていないようだった。

「隆生が《力》を使ったんだ」

「え……?」

 驚きに隆生が目を瞠る。

 と、その時傍らの黒髪の男が身動ぎした。

「私は、一体……?何故……」

 緩く頭を振りながら起き上がった彼に、俺は隆生を支える手に力を入れて警戒した。先ほどまでの禍々しい気配は消えていたが、油断はできない。

「兄さま!」

 そこに、同じように意識を取り戻したらしい透が駆けて来て、彼に抱きついた。

 透が兄と呼ぶなら、この男が《露樹》か。


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