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其の弐 神木 -透ー4

『では、まず……』

 その後のことはあまりよく覚えていない。気が付いたら家中の人間を桜の木の根元に積んでいた。

 そう、《積んで》いたんだ。

 兄は私がそれを成し遂げた事を酷く喜んで、満足そうだった。

 それからは時折勝手に敷地内に入ってくる人間を狩って桜に…、兄に血を捧げていた。

「何故、隆生を攫った」

 それまでずっと黙って私の話を聞いていた彼が私に言う。

「彼の血は、妖にとって特別なのです。彼の血を取り込めば、妖の王にでもなれる」

 真偽の程は確かではないけれど、まことしやかにそんな話が妖達の間で囁かれていた。

「だったら、隆生の生命(いのち)が…」

 兄の狙いは彼、隆生の妖に絶大な力を(もたら)(まれ)なる血。その生命…。

「お前の兄の所へ案内しろ」

 低い、地を這うような声で彼が言う。

 怒りからなのか、ぎりぎりと歯を噛み締めているのを見て、何とも形容しがたい感情が生まれた。

「はい……、《道》を繋ぎますから、こちらへ」

 彼に手を差し出すのと同時に、小さな足音がした。

「マサキ兄、隆生兄は?」

 声のした方を見ると、小さな子供が立っている。

 その子供を見た(マサキ)から怒りの表情が消えた。

「ちょっと出かけたんだ。これから迎えに行ってくる。正太、弥市に夕餉までに戻ると伝えてくれ」

「うん、わかった」

 子供が走り去ってから、マサキが私の方を見る。

 先程までとは多少穏やかな表情になったといえどもまだ厳しい顔で私に言った。

「さぁ、案内しろ」

「承知致しました」

 応えて彼の手を取ると、兄のいる場所へと《道》を繋ぐ。

「貴方なら、私を……いえ、兄を助けられるかも知れません……」

 私の呟きは、誰にも届かず闇に呑まれた……。


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