大納言の庶子って国会議員の子供ぐらいか?
兵に連れられた秀一は、小さな屋敷に通された。二十歳前後の若い男が秀一に声をかける。
「それがしは、滝川城城主滝川久助が家臣、滝川新助と申す。貴兄は飛鳥井大納言の庶子と名乗られたが、なぜ甲賀の地を訪れられたのだ。一人旅とも思われませぬが、お付きの者はいかがなされた」
(「甲賀」の「滝川城」かよ。そういや「花の○次」じゃあ、滝川一益は甲賀出身って書いてあったよなあ。城主だったんなら、わざわざ信長の所に行かないだろうから、タキガワキュウスケってのが、一益の本家筋と考えりゃいいのか?都合よく、このシンスケってのが一益本人ってことはないのかね。そうだったら、とりあえずこいつについていけば、本能寺の変までは大丈夫ってことだろ)
秀一は、どう返事すれば滝川新助にとりいることができるかを考え始めたが、有ることに気が付き愕然となる。
(甲賀って滋賀県で京都の隣りじゃねえか。適当なこといってたら、速攻ばれちまうぞ。そうだよな、庶子とはいえ大納言の子供が一人でうろついてる訳がねえよな。さあ、どうやってごまかすか)
秀一は第二の賭けにでる。
「タキガワ様、申し訳ありません。私の本当の名は円秀と申します。陸奥国の円良寺にて円旬様にお仕えしておりました。
円旬様は先月病にてお亡くなりになられました。その際に、飛鳥井大納言様の庶子であることを告げられ、仏像を飛鳥井家に届けるように託されました。
しかしながら、旅の途中で賊に襲われて、荷物を奪われ、仏像は破壊されてしまいました。その際に仏像の中から出てきたのが、こちらの首飾りです。
私は、この首飾りだけでも飛鳥井家に届けなければなりません。しかしながら、荷物を奪われたため、私の身分を証明できません。万が一にでも首飾りを奪われてはいかないと考え、円旬様の名前を騙りました」
秀一はクロム○ーツの首飾りを外し、滝川新助に差し出す。
「タキガワ様のお力添えで、飛鳥井家にお届け頂けないでしょうか」
通称縛りでやると、全然話が進みません。