閑話 慶次と信長と天狗達
「今日はなんで呼び出されたのですか?慶次郎殿。風丸はともかく、鳥丸まで一緒とは」
清洲城で仕事中の秀一の所に、慶次郎が従者二人を連れてやって来た。
「花丸を借りに来たのだが、兄上はどこだい?」
「義太夫様なら、村井殿と一緒に知多郡ですよ。今度から尾張下四郡で信長様に従っている所は、行政書式の統一がきまったのはご存じでしょう?
決めただけでは守れませんから、周知と教育のため飛び回っておられますよ。お陰で私がこの様です。見てくださいよこの紙の山。慶次郎、時間があれば手伝ってください」
「花丸も一緒か。では三太夫を「人の話きいてましたか?」」
「そう怒るな。こちらも主命なのだ。お屋形様、勘十郎様、孫三郎様に蹴鞠をお教えしなければならん。一月後に清洲城にて勝負されるそうだ。清洲、末森、那古野でそれぞれ教えよとのことだ」
勘十郎は織田信行、孫三郎は織田信光のことである。
「織田家の方々は、本当に蹴鞠が好きですな。それぞれ特訓して勝負など、子供ですか。しかし、それでは三人で足りるではないですか」
秀一は、あきれていった。
「鳥丸はそこまで上手く無かろうが。条件は同じにせよとのことだ。
それに鳥丸は、清洲城にて柴田殿や佐々殿達の相手だ。あっさり勝ちすぎた」
「修練に相撲を組み込んだのは失敗でしたかね」
(元関取直伝の技と練習方法だからなあ。ママ元気かな?)
ママとは、新宿二丁目のゲイバーの雇われママ可憐ちゃんのことである。秀一は彼女から、苦労話として股割りや四股踏み、ぶつかり稽古など、相撲部屋の稽古方法と技を教えてもらっていた。
「組打ちにつよくなったから、よかったんだがな。風丸に蹴鞠の、鳥丸に相撲の師範として織田家お抱えにならないかと話があったが、断っておいた」
流石に天狗が織田家に直接仕える訳にはいかない。
「甲賀から才蔵を呼び寄せましょう。蹴鞠師範はそれでいいとして、相撲はどうしますか?天狗で一番は月丸ですが、天狗以外では。。」
「吉蔵だな。さすがにあの体格差はどうしようもない」
「では、左近殿にお話しして、相撲師範としましょう。しかし、ずいぶん三郎様に気に入られましたな」
「代わりに、何故か又左殿には嫌われているがな。良之殿や勝三郎殿には、親切にしていただいているが」
(ホモの嫉妬とは、言えんよなあ。滝川家には衆道の気がないからなあ。まさか、信長にソッチでロックオンされるとはね)
前田慶次郎14才。爽やかな、真面目系イケメンの彼は、信長的にOKだったようで、何かと用事をつけて清洲城に呼び出している。
ちなみに元気系おバカイケメンで14才の風丸は、信長のどストライクなのか、必ず慶次郎と共に来るように言われている。風丸とキャラが丸かぶりの利家は、信長が何かと前田主従を気にかけるため、機嫌がわるい。
ちなみに勝負は弟の信行が勝ったらしく、信長は蹴鞠師範となった才蔵に連日指導してもらっている。師範が居るからと天狗達の派遣を断ったので、信行、信光がよく清洲城を訪れているそうだ。
(織田家、仲良いじゃん)




