珍しいことは皆でやりましょう
「二二が四、二三が六、二四が、二四が、、なんだっけ」
「三六十八、三七二十一、三八ああ、落ちた」
「四七二十八、四八三十二、四九三十六、よし出来たぞ」
「宗兵衛様、二四が八ですよ。
新助様、最初からやり直しです。
嘉兵衛殿、おめでとうございます。
新しい技を教えます。こちらへ」
秀一は、九九を教えるのと、お手玉蹴鞠を教えるのをリンクさせ、希望者全員に教えることにした。
はじめは宗兵衛だけに九九を教えるはずだった。しかし、覚えさせるために常に口ずさませたところ、俺も俺もと希望者が増えたのだ。
蹴鞠の方の希望者も大勢だったため、それならと「お手玉蹴鞠しながら九九を口ずさむ」という練習方法を作り上げた。蹴鞠の技を難度別に九つに分け、九九の段が一つ出来るごとに、新しい技を教えた。
(しかし、そんなに蹴鞠が好きかね。おっそろしい勢いで九九を覚えてくるな。まあ、本当に蹴鞠が上達したらしいから、気持ちはわからんでもないけどな)
新しい計算方法については、宗兵衛の練習用教材として昔の年貢や賦役の数字を使ってみたところ、小さな計算違いがボロボロ見つかってしまった。
しかも、名主↔滝川新助↔滝川久助のやり取りのなかで満遍なく計算違いがあった。間違いがなかったのは、商人から戻ってくる数字だけだった。
「如何しましょう。今のところ、この事を知っているのは、私と宗兵衛様、新助様だけですが」
(ここまで計算ミスが多いとは思わなかったな。勉強に身が入るかと思って、実際の数字なんか使うんじゃなかった。どうするんだよ、これ)
「昔のことは不問にするとしても、今後どうするかだな。藤次郎、宗兵衛、どう思う」
「円旬様は、帳簿など計算違いが起きやすそうな物は、横書きで書くように指示されていました。横書きなので、文字はすべて片仮名で、数字は計算用の書き方でした。こうすると、間違いを見つけやすいと言われました」
「そうか、だから藤次郎は片仮名は掛けるんだね」
新助は書き方をかえる手間を思ってか、あまり乗り気では無さそうだった。
(まあ、書式かわるってのは、嫌なもんだしな)
「皆が正しく計算できるようになれば、必要ないとは思いますが。それか、計算できる人を増やして都度確認するぐらいしか、私は思い付きません」
「わかった。藤次郎、円旬殿の計算方法を儂や夕にも教えよ。四人でやれば、なんとかなるだろう。」
結果的に、仕事が増えました。
夕は滝川新助の妻です。




