第2話 不思議な幸運
学校を出てケータイ確認すると母からメールが届いていた。
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差出人:母
件名なし
今日は卵の特売の日だから買ってきてね♡
買ってきてくれないと怒っちゃうぞ!ぷんぷん!
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………そっとケータイを閉じ、スーパーへ向かった。
主婦達とのタイムセールの死闘を制し、買い物を済ませた俺は、自宅への道を歩いていた。
にゃー。
「ん?」
にゃー。にゃー。
「……あの箱か。」
鳴き声のする方を見ると、そこには大きめのダンボールがあった。声はダンボールの中から聞こえている。
空気穴の空いた蓋を開けると、2匹の子猫がいた。片方はこちらをみて鳴き声をあげ、もう片方は丸くなってスヤスヤと眠っている。
「……ごめんな、俺は拾ってやれないんだ。」
我が家は、既に猫を1匹飼っており、さらに飼うほどの余裕はないのだ。
開けた蓋を静かに閉め、その場を離れる。
にゃー。
「……」
にゃーー。
「…………」
にゃぁ……。
「あああああ、くそっ!! 拾えばいいんだろ拾えば!! もう1匹も2匹も3匹も変わんねぇよ!」
悲しそうに聞こえる鳴き声の圧力に負け、箱を持つ。
「うおっ。なんだこの箱、やけに重いな。なんか入ってんのか?」
到底、子猫2匹と下に敷いてある緩衝材の重さでは考えられないような重量に一瞬驚くも、路上に子猫を出すわけにはいかないので、仕方なく中身のチェックを諦める。
そして、そのまま運んで行き、自宅に到着した。
子猫たちをケージに移し、箱の中身を見る。
一見、緩衝材を敷いてあるだけに見えるが、改めてよく見るとその中に何かが入っているようだ。中身を出してみると――
「これは……〈virtual diver〉? それに〈Weapon Magic Online〉も……。一体なんでこの箱に……」
予想外の重量の正体に、さすがの俺も思考が止まる。
どうすればいいかわからなくなった俺は、母と努に相談したが、2人からの返答は
「あら、よかったじゃない。ラッキーだと思って使えばいいじゃない。」
「おお、やったじゃねーか!これで一緒に〈W M O〉をプレイ出来るな!」
という、とても軽いものだった。これでいいのかと思う気持ちもあったが、俺も努と一緒に〈W M O〉をプレイできたら嬉しいとは思うので、ありがたく使わせてもらうことにした。
そのあとは、新しく我が家へやってきた子猫たちと遊んで過ごし、その日を終えた。