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Study:3-A「ハチャメチャな寮構成!?」

 どうもみなさん、こんちゃ! というわけで、僕達は今現在神勉学園の食堂に来ています。現場のみふえちゃん、みふえちゃん――って、グルメリポーターみたいなことは置いといて。僕達は食堂で楽しく会話しながら昼ご飯を済ませていました。昼ごはんは普通の和風定食です。やっぱり何が何でも主食はごはんですよ! ち、違いますよ? 決してあの鼻のデカイ丸いメガネをかけた人たちが黒いアレを持って「ご○○ですよ!」っていう、アレじゃないですよ? 普通の何もかかっていない白米のごはんです。

 味噌汁は定番のワカメです。おかずは……オカズじゃありませんよ? おかずですからね? オカズですからね? ここも重要です! 大事なことですから二度言わせていただきました。え? 一度目と二度目で意味が違う? 違いません! そこ、卑猥とか言わないッ!


「一人で何をブツブツ言っているんですか?」


 両手を後ろ手に回して前かがみに僕の顔を覗き込んでくる鷹ノ宮さん。顔が凄く近かったので慌てて僕は離れて目を逸らしました。


「うふふ、相変わらず可愛い反応ですね」


「ち、茶化さないでください!」


 僕は顔を赤くしながら鷹ノ宮さんに文句を言います。

 そんな一方でみふえちゃんと雛本さんは急いで食券を買っていました。

 一足先に僕はいただきますをしてごはんに手をつけます。まずは一口……うん、とても美味しいです。何て言うんですかね? 何とも言えない味わいです。ご飯の一粒一粒も輝いていて粒が元気にたっています。卑猥な意味じゃないですよ? 何とも言えないこのツヤも素晴らしいです。おっと、このままでは本当にグルメリポーターの様になってしまいますからこの辺でやめておきます。

 おかずの肉じゃが。しっかり味がしみ込んでいてじゃがいももホクホクしてて美味しいです。お袋の味を思い出します。何かツッコミの様なものが聞こえますが無視です!


「隣、いいかな?」


 その声に僕は頬に食べ物を詰めたまま振り向きます。そこにはボブヘアーの童顔少女――雛本さんがいました。


「あぁ、どうぞどうぞ」


 僕は分け隔てなく隣の席を与えました。まぁ、そもそも公共の場所なんですから席は自由なんですけどね? まぁ、礼儀がしっかりしているというかなんというか……。さすがは喜界島女学院の出身なだけはあります。


「ありがとう」


 小首を傾げながら笑みを向けてくれる雛本さんに僕の心はやはり癒されます。まさにマスコットみたいな癒し系キャラ? そんな感じです。

 すると、今度はみふえちゃんが僕にこう言いました。


「私も隣いい?」


「ええ」


 僕は普通に許可しました。こうして、僕の左に雛本さん。右にみふえちゃんが座りました。と、そこに遅れてやってきた鷹ノ宮さん。彼女は僕が両手に花状態なのを見るや否や驚愕の表情を向けて信じられないと言った風に僕に問い詰めました。


「どうして二人が野丸くんの両隣に座っているんですか!?」


 と、思いきや鷹ノ宮さんは僕――ではなく、二人に文句を言っているようでした。このまま喧嘩を勃発させる訳にはいかないので、僕は慌てて仲裁に入りました。


「まぁまぁ落ち着いてください鷹ノ宮さん。ここは公共の場なんですからどこに座ったっていいじゃないですか……ね?」


「……やっぱり野丸くんは……女心が分かってません」


 ボソボソと呟く鷹ノ宮さんですが、誠に残念ながらその声は僕にはよく聞き取れませんでした。


「何か言いました?」


「何でもありませんっ!」


「僕の前空いてますからそこに座ればいいですよ」


「前じゃなくて隣がいいんです!」


 そう言い切る鷹ノ宮さんに僕はその大声が周囲の人に聞こえやしないかとヒヤヒヤしました。しかし、食堂は上級生の方も何人かいて、ガヤガヤと騒がしいので幸いにもその大声は他の生徒さんには聞こえていないようでした。


「じゃあ、お兄ちゃんの膝の上に座ればいいじゃん!」


 と、トンデモ発言するみふえちゃん。


「ち、ちょっとみふえちゃん!? な、何言ってるんですか! そ、そんなのだ、ダメに決まってるじ

ゃないですか!!」


 だって、膝の上に座るということは鷹ノ宮さんの足というか主に太ももが僕の足に密着するわけでして……それだけじゃなくて、そんなことになったら――これ以上は言えませんッッ!!


「え~、そうなのー?」


 なぜダメなのか理解できていないご様子のみふえちゃん。何だろう、彼女を見ていると入学式の時の体育館入口で出逢ったゆすらさんを思い出します。そういえば、どこか似通っている部分が……あるような、ないような。


「わ、分かりました!」


 涙声で返事する鷹ノ宮さん――って、ええっ!? そ、そんなOK出しちゃいますか? そんなの……だって、いいんですか鷹ノ宮さん!?


「でも、座るにしても、そしたら僕食べられません……」


「じゃあ、私が食べさせてあげます!」


「いや、それ何ていうプレイですか? てか、それ僕メッチャ恥ずかしいじゃないですか!」


 脳内でシミュレーションしてみますが、やっぱり顔が真っ赤になって火を噴きそうになります。


「わ、私も恥ずかしいんですからね?」


「だったらやめましょう!」


「それは嫌です!」


 二つ返事で拒否られた!?

 鷹ノ宮和音さん。彼女はどこかこう清楚な雰囲気があるのですが、それでいて我侭な性格も持ち合わせていらっしゃるようで……。


「はぁ……分かりました。じゃあ、そうします」


 何故か逆らえない僕。というのも、逆らえば先程の鬼さんが召喚――サモンされちゃうわけなんですね。そりゃまぁ断れませんわ! だって断ったらもれなく『1Your Died』の赤文字が現れてゲームオーバーですもん。人生終了ですもん! そんなの嫌でしょ? 誰だってそうでしょ? だから僕にはこうするしかないんですよ!

 僕は言われるがままに鷹ノ宮さんを膝上に乗せました。傍から見たら何と如何わしい格好をしているんだと言われるやもしれません。第一、僕は彼女に食べさせてもらうために、向かい合うようにして膝上に座っているんですから。要は、僕のすぐ目の前に鷹ノ宮さんの胸。少し顔を上に上げると彼女のお顔があるワケなんですね。そりゃまあ顔も真っ赤になりますよ。いい匂いがふわ~って漂ってきて僕の鼻腔をこのこのと言った具合につついてくる訳ですから。何度も言いますが臭いフェチではありません! 断じてッ!


「あ、あの……野丸くん。あまり動かないでください。でないと、あの……当たります」


 え、何が? とは言い出せない僕。そりゃあそうですよ。言えませんよ、そんなこと……。


「じゃあ、やめませんか?」


「やめませんっ!」


 どうしてもこの選択肢だけは選ばせてもらえない僕……。やっぱこういった選べない選択肢は何か条件を満たさないと解除できないルートなんですかね? もう少し経験値を上げるとか? もっと関係を深めるとか? も、もちろん友情ですよ!?


「はぁ、左様ですか……。それじゃあ、そろそろ食べたいんでお願いできますかね?」


 僕は半ば諦めの気持ちで鷹ノ宮さんに食べさせてもらう様に促します。すると、鷹ノ宮さんの少し赤みを帯びた頬が一層真っ赤になって眼を泳がせながら返事をしました。

 震える手で箸を握り、おかずを手に僕の口元に運んでゆく鷹ノ宮さん。


「お、お口を開けてください」


「あ、あ~ん……」


 言われるがままに口を開ける僕……こんな恥ずかしいこと、もはや罰ゲームとか思えません。まだ見知った顔のメンツならばいいのですが、ここは何を隠そう公共の場――そして他愛のない会話で盛り上がる学生の社交場、食堂なのです! そりゃあ恥ずかしいに決まってますよ!


「うっ、すみません野丸くん……口が臭いです」


「グサッ! ち、ちょっとなんてこと言うんですか鷹ノ宮さんッ! 僕はちゃんと歯も磨いています

し、口臭なんてするはずありませんよ!」


「でも、……口からオヤジ臭い臭いが――」


「加齢臭ですか!? この年齢で!? それはいくらなんでもありえませんよッ!!」


 僕は涙目で鷹ノ宮さんに訴えます。


「ひゃっ、ちょっと、動いたら当たりますって!」


「うわわ、すみません――ってどうして僕が謝らないといけないんですか!! そもそも、こうしている

のは鷹ノ宮さんのためですよね? 僕は別にやりたくないんで、今すぐ即効で光速でやめていいんですよ?」


「それは嫌です!」


 だから、どうしてですかぁああああッ!! くっそー、やはりまだこのルートは選べませんでした

か……。


「大丈夫だよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんからは甘ったるい匂いしかしないから!」


「う、う~ん……それはそれでどうなんでしょうか? ……雛本さんも臭いますか?」


 みふえちゃんだけでなく第三者の意見も聞いておきたい所だったので、黙々と食事を進めている雛本さんに僕は尋ねました。


「むぐっ! ごほごほっ、え? え~と、……じゃあ、失礼して……」


 そう言って雛本さんは僕が口を開けると、顔を物凄く近づけて直接クンクンと臭いを嗅いできました。てか、すみません雛本さん。そこまでしないと臭わないなら口臭ないってことですよね? てか、この状況……他の生徒に見られたらなんて言われるんでしょう?

脳内でその時のシミュレーションをする僕。嫌な光景しか映っていませんでした。ああ、早くこの状況から開放されたいです!


「ほ、ほれで、ほうでふは?」


 あ、ちなみに「そ、それで、どうですか?」と訊いてます。口、開けっ放しなので上手く喋れないんです。


「ふぁ~、ダメ……この臭い嗅いでたら変になっちゃう」


「え?」


「ふぇあっ、ご、ごめんなさい! 何も臭わないです、いい臭いしかしませんっ!」


 リンゴの様に顔を真っ赤にして何故か謝り出す雛本さん。


「も、もう少しで何かに目覚めちゃうトコだったよ……」


「え?」


 ふと小声で何かを呟く雛本さんに、僕は疑問の声をあげました。


「な、なんでもないよ! き、気にしないで?」


 両手を激しく振って何かの否定をする雛本さんに、僕は頭上にさらに疑問符を浮かべます。


「あ、あのぅ……野丸くん。つ、続きは?」


「あ、ああ……そうでしたね」


 すっかり鷹ノ宮さんの存在を忘れていました。膝の上に跨られてるのに忘れてたというのも変な話ですけどね。

 それから二十分が経過してようやく、僕はご飯を食べ終えました。ていうか、これって普通に食べた方が早かったのではとそう思う僕ですが、それを言ってしまったら何かが終わってしまいそうなのでやめておきます。


――□■□――


「えっと、どういうことですか、これは?」


「ですから、クラスの人数及び、寮の部屋人数状こうなってしまったんですよ~! まぁ、テイクイッ

トイージー、気楽にいきましょう! ここでそんなにネガティブになっていたらこれからのフューチャー、エンジョイできませんよ?」


「で、ですがこれは――」


 僕達は夜の教室で意義申し立てをしていました。と言っても意義を申し立てているのは僕だけで、他の三人は何も文句は言ってませんでした。というのも、彼女達にとっては好都合? だったからです。

 話は遡る事数分前のことです。

 教室に入ってきた井伊口先生が、寮の部屋割りの紙を持ってきたワケなんですけど、これが何を隠そう事の発端なのです。これにはそれぞれ部屋割りが書かれてあって、寮の部屋にそれぞれ人数が決まっていてそこにクラスの面々が収まっていくことになっているんですが……何分、今年は新入生の寮生が多かったために部屋の構成がメチャメチャになったのだとか。一応、寮は三階建てになっていて、男性寮と女性寮に分かれているんですが、僕達はあまりにあまって、二つの寮棟の中心にある管理棟に半ば強制的に入れられるハメになっちゃったワケなんですね、はい。つまり、僕達は余り物……言い方を変えるとこうなります。でも、だからって普通男女を一緒に入れますかぁああああ!? と、僕が異議申し立てをしたワケなんです。

 これで、事のあらましは終了です。部屋が余っていないというのがそもそも不思議でなりません。そんなに今年の寮生は多かったのでしょうか? まぁ、確かに今年はやけに新入生も多かったですからね。なんでも今年の公立の入試問題がゴリムズだったらしく、そのせいでこの学園に来ることになった面々が大半なんですね。ですから、今年は結構優スタメンが多いそうです。


「何とかならないんですか?」


「アイキャントイット、私にはムリです!」


 くぬぬ、まず管理棟に強制入居の前にこのムカつく英語の喋りを何とかしてもらいたいものです。僕、イライラします。


「それじゃあ、どうすれば?」


「ですから、大人しく管理棟に入居すればいいんです! 私達にはどうすることも出来ません! 他に寮の部屋が空いていないのですから……。私も本当はこうするべきではないと思うんですけどねぇ」


 そう言って顎に手をやる井伊口先生。イヤミのようにこれでもかとぶっかけられた香水の臭いが臭いに敏感な僕の鼻腔を攻撃します。


「他の皆も何とか言ってくださいよ!」


 僕はこれでは埓が明かないと他の皆にも意見を求めました。しかし、返ってきたのはどれもこれも僕の意見とは真反対の意見ばかりでした。


「私は、別に構いません」


「う~ん、私も別にいいかな~」


「わ、私も平気だよ? むしろ……ごにょごにょ」


 鷹ノ宮さん、みふえちゃん、雛本さん――は最後がよくわかりませんでしたが、何とも恐ろしい全員肯定の意見。オーノー! これでは本当に管理棟にご入居させられてしまいます! おお、どうすれば!?


「そ、そうです! 男女が一つ屋根の下というのは如何なものでしょうか? 不純異性交遊は禁止のは

ずですよね? 教師がそんなことやっていいんですか!?」


 ふふっ、我ながらまともな意見! マジメクンが何言ってやがんだ! とか、文句言われそうですがそれはムシです!


「う~ん、まぁそれもありますが、まぁあなたなら問題ないでしょう」


 って、せんせぇえぇぇぇぇぇぇぇええええ!!? 何言ってんですか、この人は! 僕なら大丈夫ってそれどーゆー意味ですか!? まさか、僕は男性としてノットカウント? 確かに幼い時から女の子みたいな顔だとからかわれいじられて来ましたが、そんな僕も十六歳。いい加減そんなこと言われる歳がご卒業したと思っていたんですけど……。ここにもいましたか、僕の黒歴史を復活させる人がッ!

「どうしてですか? 僕だって男です! 隣で女の子がスヤスヤと気持ちよく眠ってたらよからぬことを企むかもしれないじゃないですか! 理性を抑えきれないかもしれませんよ? しかも、一人ではなく三人も! 男なら誰しもが喜ぶビックサプライス! ハッピーイベント! これがユートピアなら死んでもいいッ!! いや、やっぱり死ぬのは遠慮しておきます。 そんな場所に僕を入れてしまうんですか? 甘いですね、先生。僕を草食動物だと思ってたらミステイクです! 僕だって、僕だって時には肉食動物になる時があるんですからぁあああッ!!」


 教室中に響き渡る様な大声で僕はきっぱりと言い切りました。我ながらこれほどまでに長台詞を言ったのは久しぶりかもしれません。もう夜遅いというのにご近所迷惑な大音量申し訳ありません。まぁ、防音対策はバッチリ……ですよね?


「皆さん、もう一度考えてください! 僕が肉食ですよ? 真夜中にスヤスヤとオネンネしている間にいろいろされてしまうかもしれないんですよ? それでもいいんですか!?」


 僕は自分でも何を口走っているのだろうと(あざけ)ましたが三人は少しも表情変えることなく僕の質問に冷静に答えました。


「野丸くんが、肉食……ですか。それはそれで……」


「お兄ちゃんって草食だったの? 昔は結構肉食だったよ~な」


「野丸くんが望むなら私は、ど、どんなことでも……あぁ、でも」


 三人の意見に僕は言葉を失ってしまいました。もう、反論が出来る余地がなかったのです。


「……はぁ、分かりました。もう管理棟でいいです」


 ため息混じりに僕はそう答えました。というか、これしか僕には答えが残されていなかったのです。ホントは他にも幾つか回答するセリフを持っていたんですが、全部三人に打破されちゃいました。まぁ、人生何事も諦めが肝心。これ以上粘りに粘っても、出るのは納豆でお馴染みのネバネバの様なものだけ。

 僕達は井伊口先生からもらった鍵を持って管理棟へ向かいました。

というわけで今回はあまりにも一話が長すぎるので二つに分けることにしました。一ページで一話読みたいという方には申し訳ありません。えと、今回のこの話では主人公達は寮生活なわけですが、その寮の部屋が空いていないと……そんなわけで、彼らは管理棟で生活を送る訳になったんですが。男一人に対して女の子が三人。一人は容姿端麗な黒髪美少女。一人は幼馴染。一人は童顔巨乳少女。という何とも美味しい展開。しっかし、今回は結構一人一人に設定を付け加えすぎたような気がします。返って少し分かりづらいかも……。そんな時にはたまに読み帰ったりしてください。一応何度読んでも笑えるような感じにはしてると思いますので。

とまぁ、そんなわけで後半もお楽しみに!

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