Study:7-A「ハチャメチャなアホウサギ」
「きゃあああああああっ!」
第一声から響き渡る女の子の悲鳴。いやあ、やっぱこの声はサイコーだぜ! 何? 俺が誰かって?へっへっへ、俺は――
「ちょっと、アホウサギ! 何やってんの、そんなとこで!」
少し背の低い少女が高らかに笑う俺に文句を言う。ちなみに、こいつの名前は芹那こと、『|二詠《ふ
たよみ》 芹那』。三年で先輩なのだが、少々腐れ縁の関係で親しみを込めて呼び捨てにしてやっている。芹那とはお隣さんのよしみでよろしくさせてもらっているんだが、その芹那のリアクションが何とも面白いのだ。何を隠そう、俺はこう見えて変態なのだ! えっ、そんなのしょっぱなから分かってるって? へっへっへ、そうかそうか、そりゃあまいったな。まさか、そこまでこの俺に需要があったとは……。っと、優越感に浸ってるのは後にして芹那との思い出話でも――
「ちょっと聞いてんの? 先輩が話しかけてるんだから無視するんじゃないわよ!」
俺の言葉を遮り芹那が腰に手を当てて人の鼻っ先に人差し指を突きつけてくる。
「なにすんだよ」
鼻をぐいっと押されて少し潰れた状態で文句を言う俺に、偉そうな態度で芹那が言った。
「ふふっ、アホウサギのくせにそれじゃバカ豚じゃない」
口元に手を運んで笑う芹那に俺は少し照れくさくなり彼女の手を振り払うと、腕を組んで言った。
「けっ、そもそも俺はアホウサギじゃなくて一兎だっつーの! 失敬なあだ名をつけんじゃねぇぜ!」
「よく言うわ。あんたみたいなエロ後輩幼馴染には一兎なんて立派な名前よりもアホウサギっていう呼びやすいニックネームの方が向いてるのよ」
そう言って再び笑い出す芹那に、俺はさすがにとさかに来て彼女のその豊満な胸を後ろから揉みしだ
いた。
もみゅんっ。
「ひゃうんっ! ち、ちょっとアホウサギ! 何勝手に人の胸触ってんのよ! そんなんだからアホウサギとか言われるのよ!」
「てか、その呼び方してんのお前だけだろうが! 他のやつらはちゃんと名前で呼んでるぜ?」
自慢気に俺はそう言った。確かに嘘は言っていない。実際、本当に俺の同志や女子は俺のことを「門
構」や「一兎」などと上や下の名前で呼び慕ってくれている。ちなみに俺自身の自己紹介がすっかり遅
れてしまっていた。
俺の名前は『門構 一兎』。芹那とは幼馴染の関係に――ってこれは話し
たっけか。えっと、とりあえず既に皆知っていると思うが俺は生粋のエロ男だ! 何、開き直るなっ
て? いや~どうもこればっかりは譲れなくてなぁ~。俺がこんなんになっちまったのも元はといえば
芹那のあの悩ましげな肉体がいけないんだ! そう、あれはもうかれこれ数年前の――
「だから、勝手に一人で別世界にトリップしてんじゃないわよ! あんたがそのいやらしい笑顔浮かべ
てたらすぐにトリップしてるって分かるんだからね? 今度は一体どんなエロい妄想してたわけ?」
「こら、芹那! 女の子がそんなエロエロ連呼してたらダメでしょーがッ!!」
「何で私が怒られないといけないのよ! しかも、なんで少しお母さん口調なワケ!?」
「ふっ、女の子は普通そこは「エッチ」とか「えっち」とか言うんだよ!」
俺は胸の手前で組んでキラキラと嬉々とした笑みを浮かべて芹那にそう説いた。しかし、彼女にはあまり効果がないようでアホラシと言わんばかりの表情で俺に言った。
「な、何で私がそんな……え、えっち……とか言わないといけないのよ!」
少し恥じらいを見せながらそう言う芹那。その表情にも俺は興奮ものだが、何よりもその仕草を大きく高飛びせんばかりの「えっち」というセリフ。男が言っても「バッカじゃねぇの?」としか聞こえなかったあの言葉が女の子が言うことによって偉大な方による御言葉にも聞こえてくる。
「な、なあ! もう一回言ってくんない?」
俺は期待するようなワクワクした表情で芹那に人差し指を立てて頼み込んだ。しかし芹那はそんな俺の期待に背くようにそっぽを向いて言った。
「い、いやよ! このエロアホウサギっ!」
何やら新たにエロが追加された様な気がするが、それはそれで“アリ”だ! ふっ、俺は女の子になら罵られても踏まれても……殺されたりしてもへっちゃらだぜ! 何? さすがに殺されたら死んじまうだろって? へっへっへ、一兎さまをなめちゃダメだぜ? こう見えても俺は今まで数々の死地を生き抜いてきた男だ! そう、女子更衣室――もとい、女の園という理想郷からな! いやあ、あの時の俺の勇姿、同胞にも見せてやりたかった。
「ま~たトリップしてるし。で、どうして一年のあんたが三年の学年棟にいるわけ? あんた、私以外に知り合いなんていないでしょ?」
不思議そうに尋ねる芹那に俺はふふんと高らかな態度で言った。
「聞いて驚くなよ、芹那! 俺は、午後の体育が始まるという情報を同胞の情報屋から聞いて急遽駆けつけてきたのだ! そう、桃源郷を見んがためにッ! だからこそ、こうして脳内メモリーに保存をだな――」
「だからって覗くな!」
ゴンッ!
「イテッ! ったく、何すんだよ~せっかく保存したメモリーが吹っ飛んだらどうすんだ! LABIT製作のコンピュータはバカだからすぐデータが吹っ飛ぶんだぞ? 布団がフットンダ並だぞ? バックアップだってしてないのに……」
涙目になりながら頭に出来たたんこぶを優しくなでる俺に、嘆息混じりに芹那が言った。
「あのね? 言っておくけど、そのLABIT……綴り間違ってるわよ?」
「な、ぬわぁあにぃいいい!?」
「そんな世紀末でも訪れたのかと言わんばかりの驚愕の表情されても困るんだけど……?」
「ば、馬鹿な……ならば正しきは?」
ゴクリと息を飲み、綴りの正解を確認する俺。
「んなっ! RABBITが正しい綴り!? しかし、これではラビットではなくラッビトと読むんじゃないのか!?」
「新たな生物を生み出さないで! ったく、あんたはもう少し英語出来るようになりなさいよね……」
「ふふっ、一兎さまをなめるな? ちゃんと、エロチック、チラリズム、エクセントリックなどの意味
は心得てるぜ!」
「……」
それを聞いて唖然とする芹那。あまりもの馬鹿さ加減に呆れてしまったのだ。
「ちょっと待って。エロチックとチラリズムはいいとして……いや、よくないけど。それよりも、エク
セントリックって何?」
「――ッ!?」
「な、何よその……何で知らないの? 馬鹿なの? みたいな目は! し、仕方ないじゃない! それに、私はアンチスタディのメンツなんだから……。ねぇ、それで結局意味は何なの? 教えなさいよ!」
芹那のその質問のされ方に俺はピキーン! とこの天才的脳細胞にグッドアイデアならぬゴッドアイデアが舞い降りてきた。まさに降臨だ!
「ふっ、それが人への物の尋ね方かね? ちゃんと誠意を見せたまえ、へっへっへ」
完全に俺は道端のおっさん的発言で芹那に言い寄っていた。
「うっ……わ、解った。お、教えてくださいお願いします……」
屈辱的でありながらもどうしても気になるのか羞恥心に耐えつつ俺に頼む芹那の姿に俺は勝ち誇った勝利感を味わった。特にその悔しそうな表情と目尻の涙が堪らない。
「ハァ、ハァ、ハァ!」
「やっ、ちょ、ちょっと何興奮して鼻の穴広げてんのよ! 人がせっかく頼んであげてるのに!」
「あ~わりぃわりぃ! 普段見られない芹那の姿見てたら興奮しちゃってよ……」
「ふぇっ!? ば、バカ! 何言ってんのよ! も、もう……それで、結局意味は何なの?」
「あ~、変人だよ変人!」
「え?」
「だ~か~ら~、変人のことを英語でエクセントリックって言うんだよ! いや、しかしまさか芹那がそんなに変人の英語を聞きたかったなんてなぁ~。驚きだったよ、へっへっへっへ」
普段では知られない芹那の貴重なマル秘情報を得た俺はついつい垂れてきたよだれを手の甲で拭いながら悪質な笑みを浮かべた。
「ちょっと、そんなんで私を脅していやらしいことしようとしても無駄なんだからね?」
「な、何故解った!?」
「てか当たってたの!?」
まさか芹那が俺の予想を当ててきやがるとは思ってもおらず、俺はびっくりしていた。
「もう、信じらんないっ! とにかく、今後こんなことしたら幼馴染の縁切っちゃうからね!」
そう言って芹那はそそくさとその場からどこかへと姿を消した。
幼馴染……か。今思えばあの時のことを懐かしく思うものだ。俺と芹那が幼馴染の関係になったのは
彼女が俺の家の隣に越してきた時からだった。まぁ、幼馴染としてはよくあるパターンではあるが、あ
の頃は俺の家の周囲には歳の近い女の子がおらず、付き合いとしては男友達が多かった。そのため、悪
事を働くにもまさに男の子だなと思うことばかりだった。覗きもその一つである!
とある日のことだった。今年で俺も十六歳だが、そこから遡ること十年前……つまり、当時俺が六歳
だった時のこと。彼女は越してきた。
隣の家だということもあって、彼女の母親がお近づきの印にと何やら箱詰めされた四角い土産物らしきものを手渡してきた。その母親に連れられて物凄く幼くて可愛らしい女の子が必死に母親にしがみついている姿があった。一見俺よりも年下に見える少女。
隣に越してきた少女の母親は言う。
《この子、少し人見知りな面がありまして……。ほら、挨拶なさい》
《こ、こんにちは》
母親に促され、少女は消え入りそうな震えた声で挨拶してきた。俺はこの時あまり興味がなかったため、素知らぬ顔でふ~んと言った表情を浮かべていたが、一方で母さんの方は世間体を気にしてか表情を和らげて言った。
《あらあら可愛らしい声ですこと。お幾つなのかしら?》
膝に両手をつき、そう尋ねる母さんに少女は更に怯えた様子でとうとう体まで震えさせ始めた。どうやら、少女の母親の言うとおり人見知り――というよりは恥ずかしがり屋な部分が多分にあるようだ。
《こう見えても八歳なんですよ? 実はもう一人娘がいるんですけど、そっちは少し出てて》
いつまでも答えない娘の為か、少女の母親が代わりに答えた。その言葉に俺も母さんも拍子抜けのような顔をした。こんなにも幼い顔立ちなのに、よもや自分よりも年上だとは思わなかった。おまけにもう一人娘がいるということはそちらは妹か姉だろうか。まあ、女の子なら俺はどっちでもいいんだけど!
《そうなんですか~、うちの息子よりも二つも年上なんですね》
びっくりしているためか、少し上ずった声で母さんが言う。すると、娘の頭を優しくなでながら相手が言う。
《私もこの子くらいの時はよく言われたんです。どうも、うちの家系は皆年に似合わず幼く見えるらしくて……》
そう言われてみれば少女の母親もうちの母さんよりも少し若く見える。そもそも、うちの母さんよりも年下なのかもしれないが。それよりも、俺は名前が気になったので早く母さんが今や話題の中心となってしまっている少女の名前を尋ねないかと期待していた。
《ところで、娘さん……お名前は何て言うんですか?》
《ああ、二詠芹那って言うんです》
その名前をしっかり俺は記憶した。何かとこれから関わりを持つことになりそうな相手だ。名前を覚えておいて損はない……はずだ。
《芹那ちゃんかぁ。うちの一兎と仲良くしてあげてね?》
《う、うん》
俺の母さんの頼みに少女は少しトボけた感じの表情で静かにコクリ頷いた。俺は頬をかきながらその場から退散しようとした。すると、その首根っこを掴むように母さんが言う。
《こら、一兎。どこに行こうとしてるの? 母さん、これから二詠さんとお話することがあるから、あなたは芹那お姉ちゃんと外で遊んできなさい》
《えー? 僕これからイロイロしないといけないから忙しいんだけど?》
《あなたいっつもひとり遊びばっかりしてるじゃない。男の子とはいつも訳の分からないいたずらばか
りして迷惑ばかりかけてるんだから、たまには大人しい遊びをしなさい! いいわね?》
やばい、どうやら既に自分達の働いた悪行は親の耳に伝わってしまっているらしい。地域の住民の情報伝達のスピードは並みの組織のそれをはるかに逸脱している。
《へ~い、そんじゃあいこうぜ、芹那!》
《こ、こら! 年上なんだからちゃんと芹那お姉ちゃんって言いなさい!》
《うふふ、いいんですよ。呼び捨ての方が親しみが増していいじゃないですか》
《そうかしら……?》
芹那の母親もいいことを言う、と当初の俺はそう思った。
俺は何も口を開かない無口な芹那の手を勝手に引いて外へと引っ張り出した。今日の天気は快晴で遊び回るには絶好のお天気日和だった。
《なぁなぁ、芹那! これから何して遊ぶ?》
女子と遊んだことなんて一度もなかった俺はすごくワクワクして期待感を溢れ出させながら彼女に訊いた。しかし、相手から返ってきた返答は素朴なものだった。
《私、遊びたくない》
短く、それでいてはっきりした声。だが、それは俺の期待感を思い切り破壊してくれるものだった。その言葉に沸々と俺は怒りがこみ上げてくるのを感じた。でも、これをぶつけるのは悪い気がして気が引けた。第一、そんなことをすれば確実に芹那から嫌われてしまうことは目に見えていた。
《どうしてだ? 遊ぶと楽しいぞ?》
何とかして芹那をその気にさせようと遊ぶことを促すが、どうしても彼女は首を縦に振らなかった。
《だって、私家で遊びたいんだもん。それに、どうして私があなたと遊ばないといけないの?》
《何だって? まるで俺と遊びたくないみたいな言い方だな》
《そのとおりだって言ったらどうする?》
その言葉に俺はムッとなった。思わず手をあげてしまいそうになるが、ぐっと我慢する。ここでそんなことをすれば、どのみち自分が不幸になるだけだ。俺は決めたんだ。女の子は怪我させる対象ではない。守る対象であり、愛でる対象なのだと。そう、俺は同胞から教わった。
《分かった。んじゃあ、こうしよう。俺は俺で遊びに専念する。お前はお前のやりたいことをすればいい。それでどうだ?》
《よく分からないけど、それって私は別に家に帰ってもいいってことだよね?》
首を傾げながら尋ねる芹那に俺は自信満々にああ、と言った。
結局俺と芹那は外に出てから数分後分かれてしまった。しかし、全ては俺の計画に過ぎない。なぜなら俺はこれからとある作業に入るからだ。まずは、芹那の新しい新築のホームへと向かう。正門の扉を開けて中へと侵入し、空き巣のようにササッと家の壁に背中を張り付かせる。こうしていると、傍から見れば変態か忍者に見えるだろう。まぁ、大半が前者であることは百も承知である。
何故俺がこんなことをしているのか、それには理由がある。彼女の裸を見るためだ。へっへっへ、何せ俺は変態だからな。人は俺を月の兎ではなく、エロのウサギと呼ぶ! とまぁそれはさておき――。今回の俺の目的地は芹那の家の風呂場だ。風呂場は大抵家の端っこにあるってのは家の構造上定番なんだ。へっへっへ、必ずや芹那んちの風呂場の場所を特定してみせるぜ! 一見ぺったんこに見えるあの胸も数年後には……にやにや、おっといけないいけない、ジュルリ。ついつい未来のあいつの姿を妄想してヨダレが……。
《ふんふふ~ん♪》
と、その時だった。突如聞こえてきた女の子の鼻歌。歌声は聞いたことがないため確信性は乏しいが、間違いなく芹那の鼻歌であることは認識できた。つまり、この近くに芹那がいるということだ。そこに行き着けばもしかすると、彼女の産まれたままの姿を拝むことが出来るかもしれない。そんな偶然があるかは甚だ疑問だが、期待せずにはいられない。そもそも本来なら風呂場を見つけるだけで誰かが入っているかなどは予想もしていなかったのだから。もしも当人が入っていたらそれはもう一石二鳥そのものである。
そして俺はついにそれらしき窓を発見した。そこから確かにはっきりと鼻歌が聞こえてくる。若い女の子の声なので、芹那の母親である線は消える。なので、最も恐れていた恐怖は払拭できる。問題はその姿を拝めるかどうかにある。というわけで、いざ!
ガラガラ! という音を立てて窓が開く。ふぅ、どうやら鍵はかかっていなかったようだ。すると、さっきよりも鼻歌が大きく聞こえた。てか、窓が閉まってても外に聞こえてくるってどんだけ大音量で鼻歌歌ってんの!? と、俺は一瞬そんな疑問を感じた。
《あれ? 窓なんて開けたっけ? まっいっか~! どうせ、この時間誰も家にいないんだし! ふふ
っふふ~ん♪》
シャワーを浴びながら窓の開閉音に不思議がる女の子の声――って、あれ? 芹那の声じゃない!? 俺は内心凄く焦った。てっきりこの家は芹那の家でここは芹那が毎日使用することになる風呂場の窓だと思ったのに、どうやら見当違いの家の風呂場を発見してしまったようだ。まずい、バレる前にとんずらを――。
《そこで何してるの?》
《え、えと……こ、これは》
言葉を失う俺。俺の真後ろにいたのはあろうことか俺が探していた芹那当人だった。
《ん~? 誰かいるわけ?》
さらに風呂場から少女の声。そちらに顔を向けてみれば、そこには髪の毛に透明の雫をたくさんつけた産まれたままの姿の少女の姿があった。どことなく芹那に似た栗毛色の髪の毛。少しウェーブがかったその髪の毛は肩甲骨辺りまで伸びていて、前髪も眼を半分くらい隠す長さだった。横髪で上手く胸が隠されてはいるが、下手をすれば確実に俺の眼前にそれが晒されていただろう。
《か、か……こ、これは……そ、の》
言葉を失い、パクパクと呼吸が出来ずに苦しむ魚の如く口を動かす俺。顔が無意識に真っ赤になるのを感じる。そのせいか、俺の顔がとても熱くなっている。
ブシュゥゥゥゥッ!
気づけば俺は自分でも知らぬ間に鼻血を出してその場に倒れてしまっていた。大丈夫? という声がかけられていたようだが、当時の俺はそんな声など少しも聞こえてはいなかった……。
――□■□――
二詠家宅にて……。現在この場には何故自分の家にいるのか分からず内心パニック状態にある二詠芹那と、その関係者と思われる栗毛色の髪の毛をしたウェーブ髪の少々大人っぽい少女の二人と、その少女のシャワータイムを覗いてしまった自他共に認める某変態こと、門構一兎が気絶して地面に横たわった状態でいた。
《こ、この子が芹那の新しい友達第一号なの?》
少女が芹那に尋ねる。コクリと彼女は首を振り答えた。その動作にふぅ~ん、とだけ言って納得したのか今度は一兎の方に歩み寄る。ちなみに、覗かれて慌てて出てきたので少女は現在タオル一枚にサンダルというラフ過ぎる格好をしている。近所の人に見られでもしたらそれこそ問題になるだろう。
《ねぇ、その子死んだの?》
《え? ……あっはっは。そんなワケないじゃん! 今時の男の子はね? 多少殴られてもヘロッとしてるんだからこのくらいじゃ死なないわよ!》
芹那の一兎を心配に思うことによる質問に、少女が一瞬キョトンとなり笑い出す。その一方で芹那は一兎が無事だと分かってホッと胸を撫でおろし安堵のため息を洩らした。
《でも人見知りのあんたがまさか男の子を連れてくるなんて思わなかったわ》
《べ、別に人見知りなんかじゃないもん! ちょっと不安なだけ》
恥ずかしそうに俯き口ごもる芹那に、クスッと笑って少女が言った。
《まぁ、あんたの場合どちらかと言えば恥ずかしがり屋で寂しがり屋のあまり常に誰かに寄り添ってその人の世話を焼いてしまう性格かしら?》
《も、もぅ! からかうのはやめてよ!》
《ふふふっ、だってあんたからかうとリアクションが面白いんだもん!》
顔を真っ赤にしてプンプン怒る芹那に手を振りまぁまぁとなだめる栗毛髪の少女。
《それで、この子のこと……どう思うの?》
《え? えと、……変態》
《ふふっ、第一印象はやっぱそれかぁ~。でも、私も第一印象はそれかな。この子、顔を見ただけでそ
んな感じがするもん。雰囲気っていうの? そんな感じ》
その場にしゃがみこみ、気絶している一兎を口元に笑みを浮かべて見下ろす少女。その姿を後ろから見ていた芹那はボ~ッとただ一兎を見る少女の後ろ姿を眺めているだけだった。
《ねぇ、この子の名前何て言うんだっけ?》
《え? 確か、……かずと……だったかな?》
少々曖昧な感じに少年の名前を呟く芹那。
《相変わらずあんたは人の名前覚えるのが下手くそだね~。私なんかすぐに名前覚えちゃってたよ?》
《いいよね、記憶力がいい人は》
嫌味を言われたと感じた芹那は、ムッとなって文句を言った。
すごく久しぶりの投稿です。とりあえずこの話を投稿し終わったらしばらく投稿できなくなると思います。なので、今回の話は相当はっちゃけてますのでご注意ください。なお、主人公の野丸君他愉快な仲間たちも登場しません。




