表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

第四話 野盗

これまで投稿したものを、まとめて修正しました。

小説の書き方としておかしいと気付いたので。

多少改善されたかとは思いますが

何分素人なもので、御容赦いただけるとありがたいです。


今話は、ノボタンから直近の町へ向かう道中の話になります。




 ノボタンから道に沿って歩くこと数刻、空は星々に包まれていた。

 ここからではもう、ノボタンを視認することはできない。

 ナイルは道を外れて野営の準備を始めた。


 『ナイル、初めての外はどうだった?』

 「楽しいよ! 道を歩いてるだけなのに、こんなに楽しいとは思わなかった」


 ナイルはここまで歩いてくるうちに、様々なものを見ることができた。

 森の中やノボタンで見かけたものも多々存在したが、ナイルが初めて目にする光景や動物はそれ以上に多かった。森の中では動物よりも魔物の方が多かった為、見たことのない動物はナイルの好奇心を大いに刺激するものだった。

 目に映る風景は無限と思わせるほどに広がり、それはナイルの想像を絶するものであった。

 五感で感じる全てのことにナイルは高揚し、感動した。

 初めて滝を見つけた時には思わず飛び込んだ程だ。

 滝から出た時に魔物に襲われたりもしたのだが、それらは適当にあしらった。

 見たことのない木に生っていた果実をもいで、あまりの渋さに吐き出したことも、近寄ってきた鳥にローラが飛び乗って、そのまま連れて行かれそうになったときは、さすがに焦って追いかけたのだが、思い返すと笑ってしまう出来事だった。


 『ナイルが楽しんでるなら私も嬉しい。ナイルの笑顔が私は大好きよ』

 「そんなに笑ってたかな」

 『それはもう。こっちまで幸せになるくらいに』

 「そっか、ローラも楽しめてる?」

 『ええ、ナイルと一緒なら何でも楽しいわ』


 ローラは嬉しそうにナイルの周りを飛び回って喜びを表現する。


 「火を熾してる時に飛び回ったら危ないよ。」


 ナイルは適当に集めてきた薪に火を点けると、大きな鞄の中から固形燃料を取り出して、焚火の中に放り込んだ。

 ローラは焚火程度なら、例え触れてしまっても火傷などはしない。

 その身体は常に魔力の保護に覆われている為、摂氏で言えば二千度を超えない限り彼女に傷を負わせることはできない。

 ナイルの心配は本来必要のないものなのだが、育ての親であるローラに対しては些細なことでも心配してしまう。


 ナイルは薪を集めるついでに兎のような動物を一匹捕獲していた。

 しっかりと血抜きをした後に慣れた手つきで皮を剥がし、辺りに立ち込める血の臭いを風で吹き飛ばすと適当な枝を通して焚火で焼き上げた。

 ナイルは焼き上がったそれに塩を振って、豪快に齧り付いた。

 ローラは近くの木に生っていた果実をナイルに切ってもらったので、小さな口を大きく開いて、食べきろうと頑張っていた。


 「ちょっと大きかった?」

 『ごめんね、食べきれないかも』


 ローラはナイルに用意してもらったものを、できるだけ完食しようと努力する。折角ナイルが用意してくれたものだから、というのが理由である。

 ナイルはそれを理解しているので、普段であればローラが食べられるだけの量を用意するのだが、今日は気分が高揚していたためか、匙加減を間違えたようだ。


 「ううん。食べきれなかったら僕が食べるから」


 ドラクロアの教えから、ナイルは食べ物を粗末にしない。

 必要なときに必要な分だけ、食べられる量だけ調達する。自らの糧になる血肉や自然に対して、できるうる限り無駄になるようなことはしない。もしローラが残してしまうのならば、それはナイルの胃袋に収まるのだ。


 『折角ナイルが用意してくれたんだから、頑張って食べるわ』

 「そんな無理しないでいいよ?」


 妖精は食事をすることは可能なのだが、一度で食べられる量は僅かである。

 リンゴ程度の果実を、四分の一食べることもできない。


 ナイルは食事を終え適当に口を濯ぐと、焚火の傍らに横たわった。するとローラがナイルの胸の上に寝ころんだ


 『私と二人だけで、寂しくない?』

 「ローラと一緒だから、寂しくないよ」

 『そっか。嬉しいな』

 「ローラはグラド達と離れちゃったけど、寂しくない?」

 『私はナイルと一緒にいるのが一番嬉しいから、寂しくない』

 「そっか。なら良かった」


 ナイルは小さな妖精の髪を優しく撫でながら、ゆっくりと眠りについた。



 鳥の囀りが聞こえてくる頃、ナイルも目を覚ました。追ってローラも目を覚ます。


 魔法で空中に水を形成し顔を洗うと、その水を焚火の焼け跡にかける。

 焚火が完全に鎮火していることを確認すると、ナイルは歩き始めた。


 ノボタンは近隣の町や村と離れてはいるのだが、三日も歩けばひとつの町に辿り着く。

 ノボタンは森に守られ、完全に自立して生活できることから、他の村との交流が然程多くない。

 稀に商人や旅人が村を訪れることがある程度なので、今ナイルが歩いている道に、人影を見つけることは非常に稀有なことだった。


 ナイルとローラは足を止めて、目の前の光景を観察している。

 人通りの少ない道の上に、馬車が横たわっていた。

 馬車の周辺に二人の猿人種の亡骸。馬車の中にも二人の亡骸を確認した。


 ナイルは僅かに考えて、ローラに言う。


 「弔ってあげたいから、少しだけ待っててくれる?」

 『もちろん、待ってるわ』


 ナイルは道から少し外れた地面に、土を操作して大きな穴を穿つと、その中に亡骸を丁寧に納めていった。

 丁寧に土を被せ、人数分の花を供えた。

 馬車は解体して燃やした、そのままにしては邪魔なだけである。


 弔いを済ませると、ナイルは歩みを再開した。


 『魔物にでも襲われたのかしら』

 「違うんじゃないかな、荷物が殆どなかったし」

 『なら野盗とか言うやつかしら』

 「そうかもしれないね」

 『私達も襲われたりするのかしらね』

 「その時は僕が守るから、大丈夫だよ」


 ローラは野盗に怯えている訳ではない。ナイルも同じく恐怖を感じてはいない。

 今ナイルが考えていることは、何故彼らは殺され荷物を奪われたのかであった。


 ナイルが生き物を殺す時、それは空腹を満たす時である。


 何故彼らは殺されたのだろうか。

 殺めた者が野盗であるのなら、荷物を奪う為に殺したのであろう。

 殺めなくては奪えなかったのだろうか、何故荷物を奪う必要があったのだろうか。

 野盗にはそれらを買うことはできなかったのだろうか。

 純粋にお金がなかったのかもしれない。何故お金がないのだろうか。

 働いてお金を稼ごうとは思わないのか。

 人を殺め荷物を奪うだけの力があるのなら、働けないことはないだろう。

 何故働きもせず、危険を冒してまで他人を殺め、荷物を奪うのだろう。

 殺してまで欲しいと思う物を、彼らが持っていたのかもしれない。

 そして奪った荷物はどうするのだろう。どこかで売るのだろうか。




 暫くの時間ナイルは考えを巡らせたのだが、結局答えは出せなかった。


 ドラクロアが蒐集していた書物の中にも、他者を殺める物が多く見つかった。

 戦争という大規模な争いを記録したものや、事件と呼ばれる類が多かった。

 架空の物語にも他者を殺める描写のあるものが多かった。

 魔物を殺める物、他国を侵略する物、他国からの侵略者を撃退する物、その種類は実に様々なもので、ナイルはその多くに目を通した。

 ナイルは多くの書物を読んだのだが、他者を殺める理由に納得ができなかった。


 例えば英雄譚と呼ばれる物語があった。

 それには魔王と呼ばれる魔族が、世界を我が物にしようと侵略を始め。

 それに一人の男が発起して魔王を倒す、殺すために旅立つという話だった。

 男は登場する魔物達を只管に殺め、旅の途中で仲間を集め、更に殺め歩む。

 最後には魔王と呼ばれる魔族を殺め、英雄として成る。

 多少の違いはあるのだが、多くはそのような話だった。


 ナイルにとってどれも、到底納得できるような話ではなかった。


 何故男は、魔王を殺すことを選択したのだろう。

 魔王と呼ばれる魔族が、知能を持たないのだとしたらまだ理解のしようもある。

 しかし魔王は世界を我が物にしようと考えられるほどの知能があり、知識がある。

 ならば当然会話をすることなども可能なのではないか。

 それなのに物語の英雄はその魔王に対し、その多くが問うことすらしてない。

 問答無用で、何故か魔王は殺されてしまうのだ。

 魔王を殺しに向かう男には理由がある。それは人類の為であったり、世界の為であったり、大切な人の為であったり、王や人々からの依頼であったりした。

 そして男は旅に出て、多くの魔物を殺し、魔王を殺す。

 理由は異なれど唯それだけだった。


 ナイルにとっての生き物を殺めるということと、根本から違っていた。

 故にナイルは納得も理解もできなかったのだが、分からないと諦めるようなことはなかった。

 できうる限り考えた。何故男は殺すのか。何故魔王や魔物は殺されるのか。

 何故そのような結論が早々に出てしまっているのか。

 憶測は無限にできたのだが、どうしても答えに達することができない。


 ドラクロアは悩むナイルに、いつも同じことを言って聞かせた。

 それで良い。殺し殺されることの理由を、考えることを止めてはいけないと。


 その答えは見つからないのかもしれない。しかしナイルが諦めることもない。



 ナイルが黙ってしまった為、ローラは退屈になってしまったが、ナイルが考え事をしているときは、いつも黙ってしまうので、特に気にすることもない。

 ナイルの肩に乗って暫く景色を楽しんでいると、遠くの藪の中からこちらを窺う気配を感じるようになった。

 気配は魔物のそれではなく、どうやら猿人種のようだった。

 獣人種や鳥人種であれば、こんなにも気配の消し方が下手ではない。


 『ナイル――』

 「うん、三人見てるね」


 ナイルもそのことには気付いていたようだが、彼の歩みに迷いは生じなかった。


 『野盗かしらね』

 「どうだろう、殺気立ってるのは分かるけど。もしさっきの馬車を襲った人達なら、色々聞いてみるのも面白いかもしれないな」


 ナイルはそんなことを考えながら淡々と歩んでいく。

 すると藪の中から三人の猿人種が飛び出してきた。

 男達の手にはナイフや鉈が握られている。

 男達は有無を言わさずナイルに襲いかかってきた。


 「いきなり襲いかかってくるんだね」

 『そうね。これが野盗なのかしら』


 ナイルは立ち止まって男達の動きを観察する。

 その動きは緩慢で、ナイルはゆっくりと観察することができた。

 一人は鉈を振りかぶりながら走ってくる。

 二人はナイフを腰の位置に構え走ってくる。

 それは直線的な動きでフェイントをしてくるようにも窺えない。

 力と勢い任せて襲ってくる。といった感じだ。


 ナイルは左足を引いて半身になると、若干棍を前に突き出す。


 閃光の如き動きは一瞬。正面から迫る男達が、ナイルの射程範囲に入った瞬間だった。

 ナイルは軽く棍を振り下ろす。すると正面の男の手にあったナイフが勢いよく地面に向けて弾かれた。男の手からナイフが離れ、地面に到達するより遥かに速い速度でナイルは棍を振り上げ、男の顎を突き上げる。そのまま棍を右下へ振り下ろすと、右側から迫る男の手から、ナイフを吹き飛ばした。

 次にナイルは棍を左上に振り上げる。すると左側から迫る男の鉈が遥か上空に舞い上がっていった。ナイルは鉈を吹き飛ばすと、そのまま棍を振り下ろし、男の頭に叩きつける。二人目が意識を失うよりも早く、ナイルは棍を右側に振る。それはナイフを彼方へ吹き飛ばされた男の蟀谷に吸い込まれ、三人目の意識は粗同時に刈り取られた。


 男達の無力化にかかった時間は瞬きにも満たないものだった。

 ナイルは男達を近くの立木まで運ぶと、男達の覚醒を待った。


 暫くすると一人の男が目を覚ました。


 「ここは――」


 男は辺りを見回す。すると顎からの鈍い痛みに顔を歪めた。


 「起きたね」

 『起きたわね』


 ナイルは目を覚ました男に近づいて、男の顔先に棍を突きつけた。

 男は突然の出来事に目を白黒させて、ナイルを見上げる。


 「聞きたいことがあるんだけど」

 「な、なんだ――」


 男は状況が理解でき来ていないことと、鼻先に棍を突きつけられていることから、軽い混乱状態に陥っている。自分と仲間が立木に寄りかかって座っていることはなんとか理解できた。


 「君達はさっき馬車を襲った?」

 「馬車――ああ、あの馬車なら確かに襲った」

 「三人で襲ったの?」

 「いや。他の仲間はアジトに」

 「なるほど。だから君達は手ぶらなんだね」


 男の発言と所持していた物から推測するに、彼らは馬車を襲った一団の構成員で、馬車を襲って奪った荷物は他の仲間達が拠点に運んで行ったのだろう。

 この三人が何故戻らなかったのかは分からない。誰か適当に見かけた旅人の身包みを剥ごうとでも考えていたのだろうか。

 この人通りの少ない道で、その考えは間違いかもしれない。

 しかし実際に馬車は襲われたのだから、人通りが皆無ということではないのであろう。

 ナイルはつらつらとそんなことを考えた。


 「もうひとつ質問。どうして人を殺したの?」

 「そりゃ抵抗したからに決まってるだろうが!」


 男は男の中にある当然の答えを出した。


 「それだけ?」


 ナイルは心底落胆して、溜め息をついた。


 「つまらない」

 「何が――何がつまらないんだ!」


 男はますます混乱したようで、ナイルに食って掛かる。


 「僕が納得できるような答えなのかと思ったんだけど、何も考えてないじゃないか」

 「抵抗されたら殺すのは、当り前だろうが!」

 「どうして? 何が当り前なの?」


 ナイルの問いに男は声を詰まらせてしまう。


 「まずなんで抵抗されたの? それは多分荷物を奪おうとしたからだよね? なんで荷物を奪うの? 買えないから? お金がないの? 働けないの?」


 ナイルは次々に問いを投げかける。


 「弱い者から奪って何が悪い!」

 「なるほど。欲しいものを得るために必要なのはお金に限ったことではないもんね。それは時に力であったり、物であったり、知恵であったりする。強引に欲しいものを奪う為に自分よりも弱い対象を狙うのは合理的だね。その答えは理解できた。でも殺す必要性がやっぱり分からない。それを教えてよ」

 「それは――」


 男の中にナイルが満足するような答えはない。

 ナイル自身それはなんとなく気付いているのだが、もしかしたらという期待はある。

 ナイルは辛抱強く男の返答を待った。


 男は馬鹿ではなかった。殺される前に殺すと返答しても、そこまでして馬車の荷物を欲しがった理由を聞かれるだろうと予測することはできた。

 実際命を懸けてまで欲しかった訳ではない。あの荷物を売り捌けば、今以上に裕福な暮らしをすることができる。その程度だ。

 襲った相手を殺してしまえば、足がつき難くなり捕まる可能性が低くなるという理由もある。

 恐らくそれに対しても、同じ理由を聞かれるだろう。

 自分の命を懸ける程のことをしなければ、生きていくことができなくなる程、彼らは生活に困っている訳ではなかった。

 結局男は沈黙するしかなかった。


 「もういいや。答えはないみたいだから」


 ナイルは漸く諦めて、男達に背を向けて歩き出した。

 男は自分達を放置していくナイルに唖然としていたが、我に返るとナイルに問いかけた。

 男はナイルが自分達を殺すか、近くの町の役人に突き出すものだと思っていた。

 ナイルは男の問いに振り返り、殺す理由も役人に突き出す理由もないと返した。


 アークネース州の法では、民間人が犯罪者を断罪することはできない。

 犯罪者を捕まえ、役人に引き渡すことで報奨金を受け取ることができるが、危険を冒してまで犯罪者を捕まえようという民間人は多くない。

 捕まえたからといって引き渡さなければならないという法律もなければ、義務もない。


 「俺達を見逃すのか」

 『次襲ってきたら私が殺すわ』


 ローラはナイルにとって価値のないこの男とのやりとりに、少しイライラしている様子だった。


 「食べるの?」

 『魔物が食べるでしょ』

 「食べないならダメだよ」

 「食べるなら良いのか」


 ローラとナイルのやり取りに、思わず口を挟んでしまった。


 「僕は食べる為に生き物を殺す。殺すなら食べるよ」

 「お前等は、人も食べるのか」

 「食べたことはないけどね。必要なら食べるよ」


 男はナイルの言葉に驚愕した。

 目の前の青年は平然と人を食うと言うのだ。

 それは男の常識では考えられなかった。


 「人を食うなんて――」

 「何かおかしいの? 家畜は良いのに人間はダメな理由を教えてよ」


 男は失敗したことに気付いた。

 自分の中の概念ではこの青年の理論を、論破することができないであろうことを気付いてしまったのだ。

 男が抱いているのは、人が人を食うなどありえない、といった程度の概念である。それは理由ではない。男は確固とした理由を持っていなかった。


 「そりゃ――気持ち悪いし」

 「それはダメな理由じゃなくて、嫌な理由だよ」


 男はナイルの言葉を予測できてはいた。

 ナイルの言っていることは尤もなもので、嫌な理由ならいくらでも思いつく。

 しかし結局ダメな理由が男には思いつかなかった。


 「とりあえず、僕は君達をどうにかしようとは思わないよ。お腹も空いてないから殺さない。それに食べるなら森の奥にいる動物の方が良い。人を丸ごとなんて、僕には食べられないもん」


 ナイルが生き物を殺す時は、空腹を満たす時である。

 しかしそれは一度の食事で食べきれる大きさの生き物に限っている。


 「僕はお腹が空いているときじゃないと生き物は殺さないし、食べきれない大きさの生き物も多分殺さない。他に食べる物がなかったら殺すだろうけどね」


 ナイルの言葉に男は更に震え上がった。その言葉に偽りがないと分かってしまったのだ。


 『今はナイルがダメって言うから殺さないけど、私は煩わしいのが嫌いだから貴方達が邪魔するならナイルに分からないように殺すわ』


 ローラは魔力を籠めた小さな腕を軽く振りながら、男に警告した。


 『ナイルは空腹を満たす以外は殺さないことを決めているけど、私は違うから』


 ローラは行きましょうとナイルを促した。

 ナイルはそれを受けて、やれやれといった様子で男達から離れていった。


 男はナイル達が見えなくなると深い溜め息をついて、自分が大量の汗を掻いていることに漸く気付いた。

 男は仲間の二人の様子を確認しようと後ろに振り返り、身を震わせた。

 男の仲間は依然意識を失ったままだが、死んでいる訳ではなかった。

 男には空が見えていた。しかしそこには本来立木の緑が見えるはずだった。

 その立木は男達が背もたれている部分を残して、上半分が掻き消えていた。

 残骸はどこにも見当たらなかった。





 「ちょっとすっきりした?」

 『全然。あれくらいじゃ足りないわ』

 「随分怒ってるんだね」

 『全然ナイルの役に立たないんだもの』

 「村を出て初めて会った人に答えをもらえたら、それはそれでつまらないよ」

 『でも分かるに越したことはないじゃない』


 そうだけどねとナイルは苦笑いして歩みを進めた。



速度のないのっそりとした話ばかりで、申し訳ありません。

筆者にはそういった才はないようです。

誤字脱字は見つけ次第修正致します。


次回は、ある女性の視点の話になると思います。


12/7/10 修正を加えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ