表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色の天使、金の魔法使いを婿に迎える  作者: ジュレヌク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/12

第九話紙袋と竜巻


 厨房で倒れたシャーリーが、目を覚まして一番最初に見たのは、見慣れない天井だった。一瞬何が起こったのか分からず呆然としていたが、頭の中に倒れるまでの記憶が、走馬灯のように流れた。


『あぁ、羞恥で死ねる。』


 顔を手で隠してプルプル震えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。


「シャーリー様、起きていますか?」


 それは、マックスの声。


『ど、どうしよう。自分の顔を見た瞬間に気絶する女とか、ほんと、最悪よね?』


 自分でも、きっとそんなことをされたら、ショックを受ける。なんと説明すべきか悩みつつも、


「は、はい、起きています」


と返事をした。


「では・・・ドアを開けても良いでしょうか?」


 マックスの声は、恐る恐ると言った感じで、シャーリーの方が申し訳無さを感じる。


『そりゃそうだ。また、自分の顔見て倒れるかも知れないって思ったら、躊躇するよね』


 シャーリーは、何度も深呼吸してから、覚悟を決めて、


「どーぞ」


と返事をした。


ギーーーーーーーー


 ゆっくりと開いたドアの向こうから、コソーッと覗き込むマックスの頭には、何故か、紙袋が被されていた。

目の部分だけが開けられていて、綺羅星の輝く瞳の上にある眉毛が、情け無く下がっている。


「・・・マックス様、その袋は・・・」

「カサンドラさんが、被れって」


 自分の専属メイドの性格の悪さを知っているシャーリーは、頭を抱えた。


『あいつー、マックス様に何ちゅーことを!』


 カサンドラは、多分、絶対、面白がっている。純粋で幼気なマックスをからかって楽しんでいるのだ。 


「ごめんなさい!直ぐ、取ってください!」

「取っても、気絶しませんか?」

「それは・・・」


 正直、シャーリーには、自信ない。初恋のミックスくんが、マックスと分かって以来、もう、何が何だか分からないくらい緊張してしまうのだ。


 次の言葉が出ないシャーリーを見て、クスクス笑いながら、マックスがベッド脇の椅子に座った。


「シャーリー様は、正直者ですね。顔に、無理って書いてます」

「ご、ごめんなさい」

「いえ・・・この顔が、気絶する程気に入ってもらえて嬉しいです」


 紙袋仮面が、キザなセリフを吐くと、シャーリーは、息を吐きながら上を向いた。


『はぅーーーーー、また、気絶しても、良いですか?』


 誰に問いかけているか分らないが、なんとか気を落ち着けたシャーリーは、紙袋から覗くマックスの瞳を見返した。

 

 きっと、マックスが、心の中で、


『シャーリー様の表情は、本当に、よく動く。貴族として、いかがなものかと思うけど、そこが可愛い。あぁ、抱きしめたい・・・。』


などと喚いていると知れば、また、気絶したことだろう。

 

 つい、マックスが両手を彼女に向けようとした次の瞬間、彼は背筋が凍るような殺気を感じた。後ろを振り返ると、


カッ!


と目を見開いたカサンドラが、開けたままのドアの向こうに、鬼の形相で立っていた。


『あ、俺、殺される?』


 魔法師団で百戦錬磨の先輩達にしごきあげられているマックスが、恐怖に固まった。


「マックス様?」

「いや、一応、婚約者と言っても未婚の男女だから・・・ドアは、開けたままにしてあります!それに、廊下にカサンドラさんも居るし!」


 マックスは、誰も問いただしてなどいないのに、廊下にも聞こえる大きな声で、ベラベラ言い訳を紡ぎながら、ピンと背中を伸ばして、シャーリーと向き合った。


「クッキーは、料理長が最後まで焼いてくれて、母とチビ達が既に、半分以上食べてます。あと、母が、晩御飯を皆で食べたいと言ってます。チビ達は、晩御飯まで居ても良いでしょうか?」


 早口言葉のように言い切ると、マックスは、ゼイゼイ肩で息をした。


「プッ」

「ぷっ?」

「プハッ、ハハハハハハハハハ、マックス様ったら」


 何がおかしいのか、シャーリーは、笑い続ける。


「そんな紙袋被ってるのに、滅茶苦茶紳士なんですもの」

「いや、好きで被ってるわけでは」

「もう、ずっと被っててください」

「いや、無理だから」


 笑い続けるシャーリーを見ていたら、マックスも気が抜けた。彼女に嫌われたくなくて、必要以上に格好つけてた。


 弟のスコットに、『アンタ誰?』って言われるくらいに。


 でも、紙袋被ってて、大笑いされて、それでも、嫌われてないって言うのがひしひし伝わってきたら、もう、全部曝け出しても良いんじゃないかと思えた。


「シャーリー様」

「は、はひぃ、ひっひっひっ、何でしょうか?」

「俺たち、婚約者ですし、いつか、夫婦になるわけですから・・・・シャーリー!・・・って呼んでも良いですか?」


 言いきった瞬間、シャーリーが固まった。


『少し早まったか。』


 マックスの反省も虚しく、案の定、シャーリーは白目を剥いた。


そのまま後ろに倒れていくかと思った瞬間、


ゴーーーーーーーーーーーー


裏庭で、竜巻が起きたて、ハッと意識を取り戻す。


「なんか、すごい音が」

「あ!スコット!アイツ、何やってんだ!」


 ビリビリと窓ガラスが震え、外は、木の葉が激しく舞っている。マックスですら、ここまで激しい風魔法は使えない。

 渦巻く強風が、あたりの小石を巻き上げてピシピシ窓に当たっている。その中でも、特に大きな石がベッド際のガラスに当たった瞬間、


パリン


粉々に砕け散った破片がシャーリーに降り注いた。


「シャーリー!」


 庇おうとマックスがシャーリーを抱きしめたのと、シャーリーが気を失ったのは、全くの同時だった。


晩御飯を作った皆様へ

台所、死ぬほど暑かったね!

でも、私達頑張ったよね!

これでも読んで、笑ってね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
マックス君とシャーリーちゃんは おじいちゃんおばあちゃんになっても ほのぼのしたご夫婦になりそうですね(*´罒`*) 今日も暑い中。夕ご飯を作っていましたーっっ 明日明後日は猛暑エリアが拡大して関東…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ