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運命だと思っていた相手は、妹の婚約者でした  作者: Aro Aiura


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4/13

決めなかったことが、運命になった日

それから数か月後――

病を乗り越えたグレインフィール伯爵家に、新しい命の産声が響き渡った。


結婚してから初めての子。

そして、領地を襲った疫病という苦難を乗り越えた夫妻にとって、この誕生は何にも代えがたい喜びだった。


「マルティナ……本当にありがとう。

なんて可愛い双子なんだ……」


「ええ……。

これで、少しはヴァルツァー侯爵様への感謝を形にできますね……」


「ああ……」


ロベルトとマルティナは顔を見合わせ、心から我が子の誕生を喜び合った。そして、その知らせは真っ先にヴァルツァー侯爵家へと届けられる。


「……双子、ですか?」


知らせを受けたアルベルトの第一声だった。


「ええ。とても元気な姉妹ですよ。」


そう答えたロベルトに、アルベルトと妻のセレナは顔を見合わせ、穏やかに微笑んだ。


「それはおめでたい。可愛い女の子ですね。」


さすが医師の家系だけあり、赤ん坊の扱いにも慣れている。夫妻はそれぞれ一人ずつ赤子を抱き、やさしくあやしながら、ほどなく寝かしつけてしまった。


すやすやと眠る双子を、うっとりと見つめるマルティナとセレナ。

その微笑ましい光景を横目に、父親同士は静かに言葉を交わしていた。


「さて……どういたしましょうか。」


アルベルトが切り出す。


「双子と聞いたときは純粋に嬉しかったのですが……婚約の件を考えると、少し悩ましくて」


ロベルトは少し考え、やがて穏やかに微笑んだ。


「今すぐ結論を出す必要はありません。

貴族の婚約となれば、家の相性や資質も大切ですが……」


そう言って、ロベルトも眠る子どもたちへと視線を向ける。


「何より、本人たちの気持ちが一番大切ですから。」


「ああ、その通りですね。」


その言葉を聞き、ロベルトは、この侯爵家に嫁ぐ娘はきっと幸せになれるだろうと確信した。同時に、娘たちが胸を張って生きられるよう、しっかりと育てねばならないと心に誓う。


マルティナも穏やかに頷いた。


「ありがとうございます、ヴァルツァー侯爵様。

ぜひ、そのようにお願いいたします。」


セレナも赤子を抱いたまま、やさしく微笑む。


「この子たちが物心ついた頃、また会いに来ますね。

次にお会いできる日を楽しみにしています。」


こうして、その場ではどちらの娘が侯爵家へ嫁ぐのかは決められず、将来あらためて子どもたちを引き合わせることとなった。


――子どもたちの幸せを願って下したこの選択が、

やがて一人の少女の心を深く揺さぶる運命になることを、

この時、誰も知る由はなかった。

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