ハルト意外な特技
部室に入ると、机の上に小さなお菓子が並んでいた。
「ん?これ誰が置いたんだ?」
一口食べた仲間たちの表情がぱっと明るくなる。
「うまっ!」「何これ、めっちゃ美味しい!」
「ハルト、作ったのか?」
「カエデも?」
ハルトは少し照れ笑いを浮かべ、心の中で小さく呟く。
> 「実は今日、調理実習でカエデと一緒に作ったんだ」
授業中の光景が思い浮かぶ。
包丁を握るハルトの手は迷いなく正確そのもの。
材料を丁寧に切り分け、混ぜる手順も無駄がない。
隣のカエデも、まるでお菓子作りのプロのように落ち着いて作業している。
「ハルト、そっちの生地もいい感じだね」
「ありがとう、カエデもきれいにできてるよ」
ふとクラスメイトの一人がつぶやく。
「……二人、なんか夫婦みたいじゃね?」
二人は同時に顔を真っ赤にして目を逸らす。
「ち、ちがうよ!」
「そ、そんなことないし……」
作業は順調そのもの。
オーブンから漂う甘い香りが教室中に広がり、二人のお菓子は完璧に焼き上がった。
先生も目を細め、微笑んで言った。
「おお、二人ともいい腕してるじゃないか。授業中にここまでできるなんて」
そして、部活の今。
机の上に置かれたお菓子を仲間たちは笑顔で頬張る。
「どっちも美味しい!」「やばい、もう一個食べたい!」
「こんなに上手いなんて、意外すぎる!」
ハルトは照れ笑いを浮かべつつ、心の奥で小さな誇らしさを感じる。
カエデも隣で微笑み、二人の完璧な手際を仲間たちは知らずに楽しんでいた。
その時、樹里先輩が思い出したように口を開く。
「そういえば、去年マックスが持ち込んだやつ、完全にめちゃくちゃだったね、思い出したよ」
部室に笑い声が広がる。
マックスは赤面しながら、「あれは……ちょっとひどかったかも……」と弁解。
ハルトとカエデも思わず吹き出し、温かくも楽しい空気のまま一日が過ぎていった。




