TY‐8272 上司からの頼み事
「やあリラウス君、いつもご苦労さま。」
あ、あの鬼上司が私を労うだと。何か、とてつもなく嫌な予感がする。
「いえ、それほどでもありません。私はこれから次の世界に転移するので、これで。」
そう言って体の向きを変えようとすると、逃がすまいとしているのか、とても強い力で肩を掴まれた。
「少し待ってくれ。2つ程君に頼みたい事が有るんだ。」
気のせいかな、肩からミシミシって音が聞こえるんだけど。
「なんでしょうか?」
「1つ目は、君に教育係をやってほしい、ということだ。」
え、面倒くさい。
「面倒くさいって顔をしているな。まあ、いい。君が担当するのは、デセルティアという天使だ。聞き覚えが有るだろう?」
半年くらい前に助けた聖女だな。ん?
「魂の浄化って十年くらいかかりましたよね?」
「ああ。」
「天使として生まれてから働き始めるまで最低二十年かかりますよね?」
「ああ。」
「じゃあなんで半年で見習いになってるんですか?」
「知らん。兎も角、次の仕事から連れて行くように。」
そもそも教育係って何するんだ?
「わかりました。」
「で、ここからが本題何だが、次はTY-8272宇宙に向かってくれ。」
「何かあったんですか?」
まあ、何も無かったらこんな話わざわざしないだろうが。
「落ちたんだ。」
「え〜っと、天使?それとも下級神が?」
「いや。」
まさか、上位神が?ちょっと私じゃ手に負えないぞ?
「世界ごとだ。」
「ハハッ、冗談がお上手で。」
目が笑っていない。まさか本当のことなの?初めて聞いたぞ、こんなこと。
「デセルティアと二人でですか?」
「流石にそれは無い。君たちには、国を1つ滅ぼしてもらいたい。」
国1つでいいの?ならそこまで大変じゃないかも。
「詳細情報は?」
「星群連合国家ミズガルだ。詳しいことは、君の妖精から聞いてくれ。それと、今回は天罰と極大魔法を使用しても構わない。」
前言撤回、クソ程大変そう。
「やあデセルティア、久しぶりだね。」
「ええ、お久しぶりです、リラウス様。」
「様は要らないよ。ところでこの半年間何をしていたの?」
「よく分からないのですが、気付いたら羽が生えていて、学校にも通わせてもらえました。」
「うん、学校って多分卒業まで十年くらいかかるはずなんだけど。」
「魂回収官に一刻も早くなるべく、飛び級しました。」
半年で全学年分飛び級って、正気とはとても思えないんだが?
「あ、そう。頑張ったんだね。」
「はい!」
仕事で荒んだ心が笑顔に浄化されていくようだ。
後光がさしているように見える。流石に気の所為か。
「じゃあリリ、顔合わせも終わったし説明を。」
「まだ私のこと紹介してませんよね?」
あっ、忘れてた。
「私はリリ、主にリラウスさんのサポートをしています。」
「宜しくお願いします。」
「では、説明に移ります。今回はミズガル連合、シュミア王国、ディズマ帝国によって引き起こされた戦争が原因です。上位神が報告会に出ていたため、碌な調整ができず、大量の死者が出ました。結果、魂と魔力の排出量が限界を超え、世界が機能停止しました。なので、廃棄する前に全ての魂を回収してほしいそうです。」
堕ちるじゃなくて、落ちるなのね。
それはそうとどうしたもんかな。




