表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/29

選択

フローレスの村は救われたが、その代償は大きかった。火災によって家々の大部分が破壊され、多くの住民が負傷した。疲れ果て、煤だらけのマンスーリとアウロラは、廃墟の中に立ち、衛兵たちと生き残った住民たちが何とか秩序を取り戻そうとするのを見つめていた。空気は焦げ臭く、負傷者たちの叫び声で満ちていた。マンスーリは体が疲労で悲鳴を上げているのを感じていたが、まだ休むことはできないと知っていた。


彼のそばに立つアウロラは、破壊された光景を悲しげな目で見つめていた。彼女の手はまだ緊張から震えており、バリアを作るために使った大地の魔法は、彼女の肌に石の脈のような細かいひび割れを残していた。


「このまま続けることはできない」彼女は静かに言った。「私たちが一度攻撃を防ぐたびに、彼らは別の場所を襲ってくる。この背後にいる者を見つけなければならない」


マンスーリはうなずいたが、心の中には不安が渦巻いていた。彼らの力は限界に近づいており、彼の呪われたスキルはますます危険になっている。使うたびに彼は弱くなり、あと何回使えるかわからない。


「『偽りの王』と話さなければならない」彼は言った。「彼は話している以上に多くのことを知っている」


彼らが捕虜を拘束している場所に向かう間、マンスーリの思考は再び過去に飛んだ。彼は初めて自分のスキルを使った時のことを思い出した。それは数年前、彼とアウロラがまだ旅の始まりに立っていた頃のことだった。その時、彼らは小さな村を襲った略奪者の一団に出くわした。


マンスーリは、まだ自分のスキルが呪いであることを知らず、住民を救うためにそれを使うことにした。彼は体が信じられないほどの力で満たされ、手を一振りするだけで敵を蹴散らしたことを覚えていた。しかし、その後には代償が待っていた。彼は力が抜け、体が石のように重くなるのを感じた。立っているのもやっとで、視界はぼやけていた。


その時、アウロラが彼を救ったが、彼女の目には恐怖が見えた。彼女は、彼のスキルが祝福ではなく呪いであることを理解した。それ以来、彼はそのスキルを使わないようにしていたが、使うたびにその代償はますますひどくなっていた。


彼らが捕虜のところに到着すると、男は地面に座り、手は縛られ、目は絶望でいっぱいだった。マンスーリは彼のそばにしゃがみ込み、冷静に話そうとした。


「あなたは、この背後にいる者が誰か知らないと言った」彼は話し始めた。「だが、私たちが彼を止めなければ、あなたの家族だけでなく、何千もの人々が死ぬことになる」


男は頭を下げた。「私には…彼の名前はわからない。彼はいつも仮面をしている。だが、私がこれをしなければ家族が死ぬと言った。彼は彼らがどこにいるか知っている」


そばに立つアウロラは眉をひそめた。「私たちはあなたの家族を見つけるのを手伝える。だが、あなたは知っていることをすべて話さなければならない」


男は躊躇したが、やがてうなずいた。「彼は…古代の遺物について何か話していた。アルビディウルを滅ぼす力を彼に与える何かだ。それは北にある古い神殿の遺跡に隠されていると言っていた」


マンスーリとアウロラは視線を交わした。彼らはその神殿がどこにあるか知っていた。それは伝説と恐怖に包まれた場所だった。誰もそこに行こうとはしなかったが、今や彼らには選択肢がなかった。


神殿への道は長く、困難だった。彼らは密林や山道を進み、力は限界に近づいていた。マンスーリは一歩一歩体が弱くなるのを感じていたが、前に進まなければならないことを知っていた。アウロラは疲れているように見えたが、歩みを止めず、その目は決意に燃えていた。


彼らが神殿に到着した時、待ち受けていたのは暗い光景だった。遺跡は苔と蔦に覆われ、空気は湿気と古びた匂いで満ちていた。しかし、最も恐ろしいものは中にあった。


彼らが神殿に入ると、彼らを迎えたのは足音の反響だけが聞こえる静けさだった。しかし、突然壁が動き始め、足元の床が震えた。彼らは罠にかかったのだ。


「これは予想通りだ」アウロラは言った。彼女の声は冷静だったが、目には不安が見えた。


マンスーリは心臓の鼓動が速くなるのを感じた。彼らには考える時間がないことを彼は知っていた。突然、影から仮面をかぶった男が現れた。彼の声は冷たく、感情がなかった。


「私を止められると思ったのか?」彼は言った。「あなたたちは間違っていた」


マンスーリとアウロラは戦う準備をしたが、仮面の男は手を上げ、彼らの体が麻痺するのを感じた。彼はアウロラに近づき、仮面の下で目が光った。


「お前は女王として、私の力への鍵となる」彼は言った。「そしてお前は」彼はマンスーリの方に向き直った。「彼女の墜落の証人となるだろう」


マンスーリは自分のスキルが目覚めるのを感じた。彼はそれを使えばアウロラを救えるが、そのせいで仮面の男を止める力が残らないことを知っていた。一方、敵を止めるためにスキルを使えば、アウロラが死ぬかもしれない。


彼はアウロラを見つめた。彼女の目は決意に満ちていた。「王国を救って」彼女は囁いた。「それが一番大切なことよ」


マンスーリは涙がこみ上げるのを感じた。彼は選択をしなければならないが、愛する者と守るべきものの間でどう選べばいいのか?


マンスーリは目を閉じ、スキルが体を満たすのを感じた。これが最後の使用になることを彼は知っていた。彼はアウロラを見つめ、彼女の顔は穏やかだったが、目には痛みが見えた。


「ごめん」彼は囁いた。


そして彼はスキルを使った。エネルギーの爆発が神殿を満たし、通り道にあるすべてをなぎ倒した。マンスーリは体が弱くなり、視界がぼやけるのを感じた。彼が最後に見たのは、涙でいっぱいのアウロラの目だった。


そして、すべてが闇に包まれた。


マンスーリが意識を取り戻した時、彼は見知らぬ場所にいることに気づいた。体は弱く、頭はくらくらしていた。立ち上がろうとしたが、できなかった。突然、声が聞こえた。


「あなたは正しい選択をした」誰かが言った。「だが、その代償は大きかった」


マンスーリは頭を動かし、影に立つ人物を見た。その顔は見えなかったが、声は聞き覚えがあった。


「誰…だ?」彼は囁いた。


その人物が前に出ると、マンスーリは予期せぬ顔を見た。それは…彼自身だった。


「あなたは選択をした」もう一人の自分は言った。「だが、今はその意味を理解しなければならない」


そして、すべてが再び闇に包まれた。

第1巻には、裏話のない13の章が含まれており、それがある場合は14のエピソードが含まれています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ