破壊のエコー
灰はエルラングの街路に降り積もり、まるで灰色のシャボンのように、最近の戦いが残した破壊を包み込んでいた。煙のカーテンをかき分けるようにしてようやく差し込む太陽の光が、暗闇から引き裂かれた石の鋭い角、切り倒された木々、歪んだ鎧の残骸を浮かび上がらせた。空気には焦げ臭い匂いと、吐き気を催す血の味が混ざり合っていた。しかし、マンスーリが最も恐れていたのはそれではなかった。彼は、住民たちを即席のバリケードの後ろに避難させようと手を震わせながら、恐怖と痛みに歪んだ顔ばかりを見ていたことを忘れられなかった。その光景が彼を押しつぶし、罪悪感がゆっくりと心を満たしていくのを感じた。
彼は目を閉じると、風になびく髪と光に包まれた手で石の壁を築くアウロラの姿を思い浮かべた。そして、彼らの攻撃で大地が震えるのを感じた。再び目を開けると、アウロラがそこに立っていた。彼女の姿は不滅のように見えたが、それは全ての人にとってではなかった。彼は彼女の存在を感じ、彼女が自分を理解していること、他の住民たちとは違い、彼女が自分と同じくらい多くのことを覚えていることを知っていた。
アウロラは、前の夜に自分で築いた壁の最も高い破片の上に立ち、深紅の夜明けを背景にシルエットのように見えた。普段は生き生きと輝いている彼女の顔は、今は青白く疲れ切っており、雷雲のような色の目は稲妻を放ち、体を縛り付ける疲労を露わにしていた。彼女のそばに立つマンスーリは、震える手を隠そうとしながら、助けられなかったことへの罪悪感を感じていた。しかし、心の奥底では、自分が必要とされていることを理解していた。ただ、どうすればいいのかを理解する必要があった。
「マンスーリ」彼女は呼びかけた。彼女の声は堅かったが、かすれが混じっていた。彼女は顔を手で撫で、夜の戦いの名残を拭い去るかのようにした。「負傷者を助けなければならない。その後…誰がこれを仕組んだのか、なぜなのかを突き止める必要がある」彼女は彼の目を真っ直ぐに見つめ、マンスーリはその目に決意を見た。
彼はうなずいたが、声を出さず、震える手を隠そうとした。声は喉に詰まり、自分のスキルを使いたいという切迫した願望が全身を貫いた。しかし、今はそれをする時ではないと理解し、我慢した。そのせいで、事態はさらに悪化するばかりだった。筋肉が弱まり、足ががくがくし始めるのを感じた。「私…助ける」彼は声を絞り出すようにして言った。
「大丈夫？」彼女は目を細めて尋ねた。彼女の視線は彼の魂に直接突き刺さり、罪悪感と後悔を引き起こした。「そうじゃないのはわかっている。スキル…それがあなたにそんなに苦痛を与えている。黙っていてはいけない」
マンスーリは背を向け、ゆっくりと彼女に背を向けた。彼女に自分の弱さを見せたくなかった。彼の肩は、見えない重荷に押しつぶされるかのように落ちた。「それについて話さないで。私は大丈夫だ」彼は自分の無力を認めたくなかった。「ただの疲れだ」
アウロラは近づき、彼の肩にそっと触れた。まるで彼に自分の温もりを伝えようとするかのように。「あなたは一人で抱え込むべきじゃない。マンスーリ」彼女の声は柔らかく優しく、傷ついた動物に話しかけるようだったが、その目は決意に満ちていた。「私たちは一緒にいる。あなたは一人じゃない」
マンスーリは彼女の方に向き直り、彼女の目に心配だけでなく不安も見た。それは彼をさらに傷つけた。彼は深く息を吸い込み、魂を引き裂く感情の嵐を鎮めようとした。「わかっている、アウロラ。ただ…私は足手まといになりたくない。私は…アルビディウルを救う者になりたい。救われる者にはなりたくない」彼の声は震えていたが、その中に堅さを感じた。
「あなたは足手まといじゃない、マンスーリ」彼女は彼の手を強く握りしめた。彼女の指は大理石のように冷たかった。「あなたは私の友達だし、私が知る最も強い人だ。たとえあなたのスキルがあなたを弱くするとしても。でも、もう一つある」彼女は付け加え、目に奇妙な思案が浮かんだ。「昨日、私が壁を築いている時、あなたが私を見ていたのを見た。あの視線は何だったの？」彼女は彼の目をじっと見つめ、マンスーリは背筋に冷たいものを感じた。
彼は彼女の目を見つめ、一瞬、心に希望が灯った。「私は…あなたを信じている」彼はささやくように言ったが、心の奥では疑念が渦巻いていた。何かがおかしいと感じ、必死に彼女の視線をそらそうとした。「でも、私たちに何ができる？リーダーは、誰か『王』が彼らに報酬を払ったと言っていた。それは誰なんだ？何か特徴はあるのか？」彼は話題を変えようと彼女を見た。
「調べなければならない」アウロラはうなずき、彼の手を離した。彼女の目は再び決意に燃えていた。「彼らが残した痕跡があるかもしれない。あるいは、他の人よりも多くを見た者がいるかもしれない。でも、まずあなたに見せたいものがある」
彼女は彼を図書館に案内した。そこにはかつて古代の写本が保管されていたが、今は瓦礫の山しかなかった。途中、彼らは一人の長老に出会った。長老は震える声で、攻撃者の一人が壁に奇妙なシンボルを残したのを見たと語った。それは渦巻く線で描かれた円だったが、それ以上の詳細はわからなかった。
「これだ」アウロラは羊皮紙の切れ端を指さした。それは無傷で、まるで彼らを待っていたかのようだった。彼女は古い本棚の後ろでそれを見つけ、それが偶然ではないと感じた。そこには、長老が説明したのと同じシンボルが描かれていたが、今回はより鮮明だった。それはインクで描かれており、太陽の光に照らされてきらめいていた。そのシンボルは明らかにアルビディウルのものではなかった。
「これは何だ？」マンスーリは指で図形の輪郭をなぞりながら尋ねた。彼の心臓は狂ったように鼓動を打ち、答えがすぐそこにあるかのように感じた。
「わからない」アウロラは首を振り、彼女の目は困惑と不安を表していた。「でも、これはあの『王』と何か関係がある気がする。シンボルを調べる必要がある。もしかしたら、アルビディウルの歴史と関係があるかもしれない」
突然、外から大きな叫び声が聞こえ、続いてさらにいくつかの声が上がった。アウロラとマンスーリは不安げな視線を交わした。彼らは外に飛び出し、そこで見た光景に心が凍りついた。黒いマントをまとった武装集団が、夜の攻撃者と同じシンボルを鎧に刻み、街を襲撃していた。彼らは警告もなく、まるで完璧に訓練された機械のように行動していた。
アウロラは即座に石の壁を呼び出し、街全体を守ろうとしたが、彼らの攻撃はあまりにも強力だった。彼女は自分の魔法が長くは持ちこたえられないこと、そして助けが必要なことを理解していた。彼女の呼吸は荒くなり、手には痺れを感じた。彼女はよろめき、まるで世界の全ての力が突然消え去ったかのようだった。マンスーリは恐怖で彼女を見つめ、もし彼女が倒れたら、エルラングも彼女と共に倒れるだろうという考えが頭をよぎった。彼は彼女が力を振り絞りながらも限界に近づいているのを見て、もう選択肢がないことを悟った。
彼は自分の手を見た。手はわずかに震えていたが、彼の目は決意に燃えていた。彼は自分のスキルを使えば弱くなることを知っていたが、今は考える時間はなかった。一瞬一瞬が過ぎるごとに、選択肢がないことを理解した。彼はアウロラを救い、エルラングを救い、そして自分自身を救わなければならなかった。
章はここで終わり、読者は緊張感の中に置かれる。彼はスキルを使うのか？救済の代償は何か？という疑問が残る。
