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「炎の嵐」

ヴェルニシアの使者はマンスーリの前に立ち、蒼白な顔に期待の色を浮かべていた。和平提案を伝えたが、疲労と損失に苛まれながらもマンスーリの答えは揺るぎないものだった。


「我々は退かない。マンスーリアは屈しない。和平を望むなら、戦争をやめ、我が領土を返還せよ」


使者は冷たい笑みを浮かべた。

「愚かな選択だ。戦争は続き、貴様らはこの決断を後悔することになる」


マンスーリは拳を固く握りしめ、瞳に決意の炎を燃やした。

「覚悟はできている。最後まで戦ってみせる」


◆◇◆


拒絶されたヴェルニシアは怒りに沸いた。新たな援軍で強化された部隊が総攻撃を開始。マンスーリアが奪還した領土を次々と奪い返し、戦争前の境界線まで押し返してきた。


「我々の成果を無に帰させようというのだ」

アウローラの声には怒りが渦巻いていた。

「だが、希望を潰させるわけにはいかない」


ラルフィリウムの城壁に立つマンスーリは、敵陣営の炊事の煙が立ち上る地平線を見つめた。これはまだ序章に過ぎないと悟っていた。


その時、全てを変える報せが届いた。ヴェルニシアで内乱が勃発したのだ。統治に不満を抱いた民衆が反旗を翻し、マンスーリア侵攻部隊は反乱鎮圧のため撤退を余儀なくされた。


「好機だ」

マンスーリの目が閃いた。

「この隙に戦力を整えねば」


アウローラが頷く。

「だが警戒が必要よ。内乱はやがて我々にも波及する混沌を生むかもしれない」


◆◇◆


マンスーリは城壁の上から遠くを見据えた。胸には希望が漲っていたが、さらなる試練が待ち受けていることも理解していた。


「きっと成し遂げる」

アウローラ、アルリナ、リラに向かって宣言した。

「祖国を守る道を見つけると誓う」


アウローラは誇らしげに微笑んだ。

「私たちはいつも共に歩んできたわ」


マンスーリは深く頷き、心に決意を刻んだ。未知の困難が待ち受けていようとも、彼はもう躊躇しない。


瞼を閉じると、意識の深淵からあの声が響いてきた。


「忘れるな…」

声は運命のように囁いた。

「お前は選ばねばならない」


そして、静寂が世界を包み込んだ。

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